香港フィリピン間の送金サービス開始「アントフィナンシャル」

2018/09/18

アリババグループの金融カンパニー、アントフィナンシャル・サービスは、香港で働く数十万人ものフィリピン人達をターゲットに、海外送金コストを大幅に下げるサービスの提供に踏み出した。同社CEOのジャック・マーは、「労働者達にかかる送金コストを限りなく0に近づける方法を見つけたい。」と語り、銀行を介した従来の形式の送金手数料負担を減らすのは、アリペイを立ち上げた頃からの目標であることを明かした。

アリペイ香港とGCashの決済銀行として機能するスタンダード・チャータード社によれば、このサービスは世界第3位の市場規模である香港とフィリピン間の送金にのみ利用可能であり、香港の財務長官であるポール・チャン氏は、「国際基準に沿った香港の堅牢で効果的な金融規制体制は我々の誇りといえます。金融規制当局は、専用のリエゾンプラットフォームとサンドボックスによる業界のイノベーションを進めており、限定された環境下で、ファイナンシャルサービスプロバイダーはフィンテックソリューションのパイロット・トライアルを行うことが可能なのです。」と語った。

これまで香港の銀行を介して国際送金を行うにはHKD18が必要で、場合によって通貨換算手数料など他の諸経費も別途かかることもあったが、マー氏はこの費用を1セント程度まで圧縮したいと願っている。「以前MoneyGram社を買収しようと思ったのはそのためだったのですが、様々な問題で実現しなかった。だから最先端技術を使って、それより良い仕組みを作ろうと思いました。ブロックチェーンが人々と社会にもたらす影響は、想像以上に大きなものになるでしょう。」

香港政府の統計によれば、2016年のフィリピン人たちの送金額は5億6100万ドル(約616億円)に上り、人数的にも香港最大の外国人コミュニティとなっているが、アリペイ香港のユーザーはこのサービスを使えば、フィリピンの電気通信会社Globe Telecomが運営する携帯電話および決済サービスであるGCashのユーザー約800万人に、競争力のある為替レートで、たった数秒で安価に送金をすることが可能になるのだという。

GCashの運営会社であるMyntの社長兼CEO、アンソニー・トーマス氏は、「国外に暮らすフィリピン人にとって、母国の家族にGCashモバイルウォレット経由で送金をすることは、いつかスタンダードになるだろう」と語った。

アント・フィナンシャルは、最初の3ヶ月間の試用期間中、取引手数料を無償にすると発表。似たようなサービスとして、既にテンセント・ホールディング社がパートナーのEMQおよびTNGウォレットと共に、フィリピンとインドネシアのメイド向けに、モバイルデバイス経由で送金を行うアプリの提供を開始しており、両社の競争の行方には注目が集まる。

(テキスト:Hilary Kwan、翻訳:Shoko Masuda)

 

 


Ant Financial
ウェブ:www.antfin.com/index.htm?locale=en_us

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