中国の命運を握る?グレーターベイエリア構想

2018/09/05

2 - Conference B

HAX及びKPMGが主催する、最新のハードウェアなどIOTのトレンドを紹介するイベントの初回が7月に終了した。会には主にグレーターベイエリア、特に香港や深圳のスタートアップチームが、最新の経験を共有するために招待された。

 

グレーターベイエリアは、中国中南部に位置する広さ5万6,500平方キロの広大な地域をいい、その構想は香港、マカオに加え、中国広東省沿岸の9都市を経済的かつ社会的に統合し、世界のベイエリア成功例であるサンフランシスコ、ニューヨーク、東京に匹敵する都市にすることを目指す国家開発戦略だ。

この地域の人口はおよそ6800万人、GDPは1.4兆米ドル(USD)を誇り、製造、技術革新、輸送、貿易、金融の面で時代をリードしている。今後もイノベーションとテクノロジーのハブ化を進めるなどして、エリア内の連動性、統合性が向上すれば、地域内の物資やサービス、資本、人や情報の移動が促進され、第13次5カ年計画および一帯一路政策の前進に寄与するだろう。

1 - Greater Bay Area

KPMGとHKGCCが600人以上の企業幹部に対して行った最近の調査によれば、グレーターベイエリアのイニシアチブには強い支援があり、回答者の90%がこの地域は中国経済に良い影響をもたらし、成功のためには政府の支援、法令の一貫性、インフラ支援、税制上の優遇等が必要という声が上がった。急速に変化する経済環境を背景に、中国と香港に本社を置く企業のCEO達の多くは、世界経済と自らの業界の成長に自信を持っている。11カ国1300社のCEO(うち中国は125社)を対象としたKPMGの概況レポートによると、中国のCEOは成長目標を達成するために先端技術に投資し、M&Aを推進していることが分かった。

2017年以降、90%の高い水準で、中国のCEO達の成長見通しに対する自信は変わっておらず、彼らのうち84%が今後3年間で人員が全体的に増加すると考え、44%が5%以上の増加を予想している。また94%が、今後3年間に年5%以上の成長を遂げると予測し、競争力を維持できると回答。多くの中国人CEOは、技術の混乱を受け入れ、スタートアップ企業と協力して予測分析やその他の先進技術に投資しているという。

深圳はプロトタイピングとハードウェア開発の優れたエコシステムが成功している都市であり、地域の成長に貢献している。MoonaのCEO、コリーン氏は、「例えばフランスから中国に部品を注文すれば2週間程かかるが、それが深圳なら近場で、その日中にサンプルを入手できる。そうしたビジネスプロセスの高速化、安価なスペアパーツやテスト冶具、3Dプリントの恩恵を受け、試作もより簡単になった。一部パネリストのように、ソフトウェアの大半は中国外で作られているが、ハードウェアの大半は深圳で作られている。」と語った。

Unsupervised.aiのCEO、クレメント氏は、「深圳は我々に、製品の反復にかかる時間を短縮するチャンスをくれた。通常欧州ではプロトタイプの反復に少なくとも3週間かかり、コストも高い。そのため、新たな反復を行う前に全てを複数回チェックしなくてはならなかった。また、特に複雑なロボット工学において、小規模な製造に関してヨーロッパは、スピードとコストだけでなく、柔軟性に乏しい。その点壁に行き当たった時に同業の知恵を借り、困難を解決する能力を持っている点でも中国人は秀でている。フランスのFabイニシアチブ同様、欧州ではますますプロトタイピングラボやファブラボが盛んだが、小グループ規模の調整には問題がありそうだ。」と述べた。

世界各国からビジネスのために中国を訪れる人々。HAXは、彼らと中国のエコシステムとの良好な結びつきを作り、小/中規模のバッチだけでなく、反復をうまく機能させるためのパイプラインを構築した。今後のエコシステムには、さらなる期待が集まっている。

(テキスト:Hilary Kwan、翻訳:Shoko Masuda)

 

 


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