中国人事労務「事業再編に伴う部門閉鎖」インテリジェンス

2014/03/24

前回は「労働関係処理のポイント(4)」と称し、解雇の具体事例として「素行不良」による契約解除について解説しました。今回は「事業再編に伴う部門閉鎖」による契約解除についてご説明します。

■事例(事業再編に伴う部門閉鎖)
電子部品販売企業E社は、営業部、市場部、設計部、管理部から構成されていたが、設計拠点を日本に戻すことになり、2014年3月末までに現地の設計部門を閉鎖しなければならなくなった。現在、設計部門には10名のエンジニアが在籍しており、会社は会社都合解除を検討。

■会社方針の確定
1.解雇事由の確認
緊急対応を迫られる場面ではないと言えるため、まずは他部署への配置転換など、他に手段はないかどうかを検討すべきと考えます。
2.適用法規の確認
客観状況の重大な変化による会社都合解除(労働契約法第40条(三)項)を中心に検討すべき場面ですが、従業員の同意が取れた場合には協議一致による契約解除(労働契約法第36条)、また、配置転換を行う場合には労働契約内容の変更(労働契約法第35条)として処理することになります。
3.解雇可否とリスク検討(図1.を参照)
労働契約法第40条(三)項を用いる場合、まずは現在の状況が客観状況の重大な変化と言えるかどうかの検証が必要です。一部地域では不可抗力に近い状況のみを客観状況の重大変化と捉えているケースもあるため、事前に所在地労働局などの見解を確認し、慎重に進めることが肝要です。また、法律で定められた解雇制限(医療期間や女性三期にある従業員などに対する解雇禁止)にあたらないかどうかの確認も必要です(協議解除は可能)。同法第40条を用いる場合、労働契約内容の変更をめぐり、従業員との協議を必要とすることから、配置転換など、契約解除以外のオプションを示せるかどうかの検討も行います。その他、対象従業員それぞれの特性(性格・年齢・出身地・家族構成・人間関係など)を調査し、解雇の難易度を事前に測定することなども重要と言えます。
4.補償プランの確定
労働契約法第40条(三)項を用いる場合、30日前に通知するかあるいは1ヶ月分の賃金相当の代通知金を支払うことになります。また、法定外の+αの支払いを求められることも考えられるため、あらかじめその支払い可否および限度額を決定しておく必要があります。その他、配置転換を行う場合の待遇についても事前検討が必要と言えます。

■解雇シナリオの確定
1.ストーリーの作成
まずは配置転換などの選択肢を与え、それでも同意できない場合に協議解除を目指し、協議一致解除にも至らなかった場合には訴訟リスクを覚悟の上で会社都合解除を行うというような流れが一般的です。先述の通り、客観状況の重大な変化に該当するかの基準は非常に曖昧ですので、訴訟となった場合、会社が不利な状況に置かれる可能性も排除できません。また、従業員にははじめから解雇ありきと受け止められないよう、できる限り現実的な選択肢を用意することも重要です。その他、訴訟となった場合の備えとして、従業員と協議を行う際にはすべて書面や録音などの記録を残しておくことも重要と言えます。
2.役割分担
誰が何の役割を果たし、どのように進めるのかを事前に明確化しておきます。会社のサイズにもよりますが、通常はトップ自らが中心的な役割を担います。
3.通知場所と日時
協議が長引くことが予想されるため、十分な時間を確保する必要があると言えます。対象者全員に説明を施した後に個別面談を行う流れが一般的ですが、その際のポイントは協議に応じてもらえる可能性が高いと思われる従業員から先に面談を進めていくことにあると考えます。

当該ケースにおける思考フレーム例

北尾直樹 インテリジェンス

 

北尾直樹 インテリジェンスアンカーコンサルティング深セン 総経理

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