「デザインとマーケティングと香港の話をします」第五回:異文化ギャップは恐くない

2018/01/29

香港と日本は飛行機でたったの四時間の近距離。でも実際に暮らしてみると、かなりの部分で価値観が違う。だから面白いとも言えるし、いや、頭痛の種だとも言えます。今回は香港で暮らす以上、向き合わざるをえない異文化ギャップについて考えます。

ちょっとした時に違和感を感じることはないですか?美味しいんだけど、なんか今ひとつぬるいな・・。モールの導線が不思議だ・・。この日本の商品、香港ではせっかくの売りに触れてないよね・・。えーと、棚を見てるんだけど、前を横切らないでよ・・。などなど。そして、生活だけではなくて仕事の現場でも、あれれ?どうしてそう行動するんだろう、と思うことが結構ありますね。いくつか挙げてみます。

*素早いことがベスト

何事も早く済ませることがベストです。素早く理解し(たつもりで)、素早くスキル(が高い前提)を使って、さくさくこなす(できてないかも)。それが能力の証明になります。

*コンテキストを考えない

物事のコンテキストは重んじません。『世間』の感覚を意識することはあまりありません。個人とファミリーが最重要になります。周囲に手本はあまり存在です、ガイドしてくれる人があまりいません。

*教えない

部下や同僚に教えません。シェアしません。相手も教えてもらいたいわけでもないかもしれません。確認されなければ、そのままになるかもしれません。もう少し、手間をかけてみたら、もっといいものになるはずだ、という考え方はあまりありません。

*深く考えずに見切りをつける
問題が起きた場合、なんとかして解決の道を見つけることには萌えません。それが出来てない会社の方に問題があるので、解決の努力をするよりは、力のある(ありそうな)会社に移った方がいいのかもしれません。

思いつくままに挙げてみました。どれも困ってしまいますね。もちろん全て、日本人の感覚から見たものです。さらに働く業界によっても、見る人の考え方によっても、感じ方は違うかもしれません。その上で、異文化との付き合い方について2つの視点を紹介します。

【1.違いを違いとして見る】
ここは香港ですから香港スタイルの方がいい方向に働くこともあります。日本の価値観との違いを知った上で、無理に合わせることはないけれど、違いは違いとしてありのままに見ることが必要だと思います。

【2.日本はもはやセクシーじゃない】
21世紀初頭までの日本は、かっこいい、ハイテク、リッチなイメージで憧れられていた部分もあったかもしれません。しかし、近年はモノづくり面でもカルチャーでも元気が無い。なんだか英語もあれだし、残業は多い、手続きは面倒、でも決断しない、日本人はセクシーじゃないと思われている部分もあるようです。

どうやってつきあうか?

全く反対のアプローチのように見えて、どちらも異文化ギャップを乗り越えて、上手なディレクションをしているなぁ、と思った2つの例をご紹介します。

麺屋一京の村田さんは、完璧な味作りを教えるには日本的なコンテキストを理解することが必要。それを今すぐ求めるのは無理だから70点が取れればいいじゃないか、と話してくれました。10点上げるために彼らの中に全くないものを引き出す必要はないという考え方。素晴らしいと思いました。

BrewBrosの小野さんは、どのスタッフでも自分の店の味を出すことができるように、お湯の温度やコーヒーの分量やかける時間などを徹底的にデータ化してシェアするとおっしゃってました。これも素晴らしい方法です。

どちらもプロですね。

うーん、自分は、、、納得が行かなければ首を縦に振らないという一番だめなタイプかもしれません。香港の人だけでなくミレ二アルには受け入れてもらえそうにないです。皆さんはどうですか?いずれにしても、ここは地元の人に任せておこう、と丸投げしてしまわず、意見を戦わせより良い結果を出したいものですね。(続く)

 

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植木 伸彦氏

植木 伸彦氏
1995年、黎明期の上海で日系企業のマーケティング立ち上げを手伝う。1998年にTYA(HK)LTD設立。戦略クリエイティブを核に大手家電、化粧品、食品会社などのブランディング、プロモーション、コミュニケーションプランに携わる。

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