円安と円高をどう考えるべきか(Borderless Management & Investment)

2014/02/11

円安への期待から脱して、円高へ活路を見出すべきか

 

FRB(連邦準備制度理事会)

 

1月29日、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は国債などを買い入れて市場にドルを投入する量的緩和策をさらに縮小した。

アメリカの量的緩和の規模は本来850億ドル/月の規模だったが、先月12月に750億ドル/月に縮小され、今月また100億ドル縮小されて650億ドル/月となる。

そもそも米国の量的緩和はドルを大量発行することにより、国内のカネ回りを良くして投資を活発化させ、景気回復や雇用促進を狙ったものだ。

しかし基軸通貨であり、世界中に流通しているドルの大量発行は世界的なカネ余り状態をも生み出すことになる。余ったドルは安全な投資に回るお金から次第に投機的な資金に変貌し、本来経済的に不安定な新興国まで行き渡って実態と乖離した金融市場の活況を演出してしまう。

すると、どうしても

「上がるから買う」

で、バブルが起こってしまう。

そしてFRBの二ヶ月連続の量的緩和縮小の方針。ドル資金が今まで以上に潤沢に流れてこないことから、

「見込んだほどの成長も上昇もないのではないか。。?」という不安にかられた投機資金は新興国から潮が退くように流出して、より安全な資産へ逃げ込むことになる。

これにより、アルゼンチン、トルコ、南アフリカなどの通貨が売られて急落した。

昨今の円高方向への転換は、安全資産と見込まれた円がそうした資金の逃避先になったということである。日経平均株価はFRBの量的緩和策縮小の発表があった1月29日から1週間で1,000円ほど下落している。

基軸通貨の金融政策転換は世界はこれほど動揺させるということを認識させられた。

Borderless Management & Investment

Pocket
LINEで送る