NWB 投資フォーラム : 香港で学ぶ海外投資

2016/08/01

香港在住日本人をターゲットとした保険や証券などの商品をはじめ、日本での不動産投資に興味のある香港人富裕層に向けて金融サービスを提供しているNippon Wealth Limited, a Restricted LicenceBank(以下NWB)。今年3月に開催した第1回投資フォーラムの成功を受け、7月14~16 日の3日間に渡り第2回目となる投資フォーラムを開催した。同フォーラムでは、日本をはじめ世界の第一線で活躍する専門家が、世界の経済・金融事情、今後注目の投資商品などについて講演を行った。今回はその中のひとつ、「中国不動産事情とマクロ経済」について紹介しよう。


 

パネルディスカッション「中国マクロ経済と不動産最新事情」より

[講演者]NWB 独立取締役 金森俊樹氏金森俊樹氏

昨年以来中国の経済成長率が鈍化しているといわれていますが、中国政府の見解では想定通りに推移しているとの見方です。昨年12月に行わ
れた中央経済工作会議では「住宅在庫の解消」が課題として取り上げられるなど、注目が集まっています。昨年度から再び住宅価格が上昇傾向にあるため、「バブル再来だ」などといわれています。では、「バブルかどうか」はどのように判断したらよいのでしょうか。

今回は3つの視点での検証してみます。

❶住宅価格と家計所得との対比住宅価格の対家計所得比は6倍~8倍であれば合理的といわれる。直近のデータでは7.2倍。

❷購入後の賃料収入との関係最近では購入価格の上昇率が顕著である。購入価格は賃料収入の200~300倍が妥当であるという見方がある中、北京、上海のような一線級都市は500~600倍と非常に高い基準になっている。(年間の賃料収入÷購入価格=利回り)

❸他の金融資産とのバランス参考として、定期預金利率…3%住宅ローン金利…4.9% 賃料収入と同じ収入を得るために必要な預金額、また住宅ローン、預金金利の機会費用等と比較する。

これらの点から見る限り、一部大都市を除き、全体としてはなおバブルといった状況にはないと思われます。

また、一般的に中国の購買力は他の先進国と比較することが難しく、第一に把握されていない「灰色所得」が多いこと、第二に長期に渡り実施されてきた「一人っ子政策」です。例えば一人っ子同士が結婚した場合、お互いの両親あわせ合計4人の援助を受けることができるため、購買力は見かけよりかなり高いことがうかがえるでしょう。第三としては、「都市化」の問題です。先進国の都市化率は80%以上である一方、中国では現時点で55%ほどで、まだまだ都市化の余地があります。このように様々な事情を抱えている同国ですから、単純に諸外国との比較はできません。一概には断定できず、様々な角度から分析する必要があります。


[講演者]東急不動産上海支店 張 浩群氏張 浩群氏

現在の中国の不動産投資は、住宅が中心のものとなっています。今回は現場の観点から、バブルか否か、そんな視点も織り入れながらお話したいと思います。皆さんもご存知の通り、北京・上海の都市部の投資金額は驚くほど大きな規模となりました。一線級都市と呼ばれる地域では、日本のデペロッパーの参加はかなり難しいものになっていますので、二線級都市でのチャンスを探すしかありません。ところが、こちらもかなり厳しいのが現状です。郊外を売り払い都市部を買うというスタイルですので、二線級都市についてはとてもバブルとはいえません。

では、実際の不動産在庫はというと約60億平米も存在します。これは2015年の販売面積の5倍強もの数字です。一方、賃貸市場は急速な伸びを見せ新しい形態が現れました。従来の賃貸市場では個人の住宅を個人に貸すことが一般的であったのに対し、新形態では賃貸物件を借り上げまたは買い取った上で自社ブランドとして新たに賃貸をします。さらに他にも例を挙げると、REIT(リート)市場も立ち上がってきたといえます。こちらも急速な発展を見せ法律の整備が追いついていない部分もありますが、新たな可能性の一つだといえるでしょう。

これらを踏まえると「何をもってバブルなのか?」という疑問は現時点ではやはり誰にも答えられません。ただし、政府の不動産市場への支援策は今後も更に続くことが予想され、この後数年間はとてもバブルとは言える状況にないだろうというのが私の見解です。


 

専門的でもあり複雑でもあった今回のテーマだが、時折ユーモアも交えながらの解説に会場は笑い声に包まれ和やかな雰囲気であった。開催後のアンケートでは国際税務のセッションが一番関心が高く、具体例を交えての講演に参加者自身も個々のケースに置き換えて考えられる良い機会となったようだ。またシンフォニーオブライツを観覧しながらの北京料理、ビクトリア湾を眺めながらの上海料理、会員制クラブのAberdeen Marina Clubでの洋食ブッフェと、「香港を楽しむ」といった点からも注目して欲しい。最新の金融事情や国際税務、アジア情勢について日本ではなかなか得られない貴重な情報が手に入るこの投資フォーラムは、一部のセッションだけでも参加が可能なので、興味のある方は是非参加してみて欲しい。


 

〈講演・ディスカッションテーマおよび講演者〉(敬称略)

◆世界経済概況
NWB取締役兼COO 長谷川建一
◆パネルディスカッション「中国マクロ経済と不動産最新事情」
東急不動産上海支店 張 浩群
NWB独立取締役 金森俊樹
◆アジア不動産マーケットとフィリピン不動産マーケット
株式会社マリモ 国際投資営業部部長 岡崎健治
Marimo Real Estate Philippines Inc, President 沖本信幸
◆アジア債券投資戦略
NWB商品部長 幾田朋彦
◆「中国企業」のM&A
Kygo Investment Ltd, CEO 本名正博
◆デリバティブ・仕組債の基礎と歴史
レオンテック証券(香港) 日本事業部長 久保智
◆最新ヘッジファンド投資動向
ソシエテ・ジェネラル ディレクター 山内憲二
◆債券投資の基礎知識
NWB 営業副部長 吉岡甲子郎
◆日本国外資産の保有と税制
税理士 牧野好孝
◆年前半最大のイベント後の2016年後半のグローバル市場展望
マネックス証券㈱チーフ・ストラテジスト 広木隆

〈NWBより〉 当フォーラムでは、世界経済展望、香港・中国経済情報、国際税務、具体的な金融商品等、多岐に渡った内容を、その分野で第一線で活躍する講師から全工程日本語で実施する貴重な機会をご提供しております。これまでの2回の開催でも香港からはもちろん、日本やアジア各国にお住まいの日本人の方々にお越しいただきましたが、第3回目も、皆様のご期待に応えられる盛りだくさんな内容になるよう企画いたしますので、是非皆様ふるってご参加ください。

お知らせ
●ミニイベント中秋節&観月会
9月15日(木)
時間:18:30~
場所:NWBラウンジ ※参加無料(軽食付き)

●次回投資フォーラム
12月2・3日(金・土)を予定しております。
( 前夜祭としての12月1日夜歓迎レセプションを含む計3日の開催)
詳細は、お問合せください。※有料(金額未定)

Nippon Wealth Limited,a Restricted Licence BankNWBロゴ
住所:16/F, The Peninsula Office Tower, 18 Middle Rd., TST
電話:(852)3958-8828
メール:info@nipponwealth.com

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