中国法律コラム8「増値税制度改革について」広東盛唐法律事務所

2016/07/18

従前、中国の間接税制度では、商品の販売には増値税が、サービス業には営業税が徴収されてきました。2012年より、中国政府は企業の税負担を低減することを目的として、一部の地域及び一部の業界から段階的に営業税を廃止し、増値税への一本化を推進してきましたが(以下、営業税から増値税に移行する税制改革政策を中国語原文に合わせて「営改増政策」といいます)、今年3月、中国政府は全国的に全ての業界において「営改増政策」を実施することを決定しました。
財政部及び国家税務局が今年3月に公布した「営業税から増値税に移行する税制改革の試行を全面的に推進する通知」によりますと、2016年5月1日より、中国全土において営業税から増値税への移行を全面的に実施するものとされ、建設業、不動産業、金融業、生活サービス業の全てがその範囲とされました。従来は営業税が徴収されていたこれらの業界も、これからは増値税が徴収されることとなり、営業税は中国の税制度から姿を消すこととなりました。
「営改増政策」の主な目的は二重課税を回避すること及び企業の税負担を低減することによって国家の経済力を増強させることですが、企業は制度改革に対応した管理を実施する必要があります。今回の記事では「営改増政策」の実施への対応方法について次のとおりにまとめましたので、参考にしていただければと思います。

一、自社内での管理
企業の納税者類型は「営改増政策」の実施により変化が生じることがあります。これについて、企業は増値税に関する法律・法規及び最新政策に基づき内部管理を実施する必要があります。具体的には次の各号に掲げる事項から着手されるべきです。
1.営業税事務の整理
従前、営業税時代に締結した各種契約、商行為について整理をする必要があります。主には、営業税の未納状況がないか、発票の未発行がないかのチェックをします。
2.納税者類型の確認
増値税の納税者類型には一般納税人及び小規模納税人があります。両者の納税申告、税率などには異なる点がありますので、企業は自己の売上げ規模などを考慮して、納税者類型を確定させる必要があります。
3.増値税専用発票の管理
増値税専用発票の管理を適切に実施しない場合、行政処罰、刑事処罰などのリスクが生じ得ますので、企業は増値税専用発票の管理制度を確立し、増値税専用発票の発行、取得、認証などを適切に管理する必要があります。

二、契約の管理
「営改増政策」の実施により、契約の相手方が営業税の納税者から増値税の納税者に変更になり、目的物にかかる税率に変化が生じることがあり得ます。したがいまして、取引先と締結した契約の整理をする必要性があります。具体的には、以下の数点があります。
1.相手方の納税者類型の確認
契約締結時、相手方が一般納税人であるか小規模納税人であるかを確認する必要があります。それによって、提供できる発票が増値税専用発票なのか普通発票なのか、増値税率が何パーセントなのか、仕入控除ができるかなどが変わってくるからです。なお、増値税専用発票を発行するに当たっては、受領する会社の正確な社名、納税者識別番号、住所、電話番号、取引先銀行、口座番号などの情報が必要になります。
2.価格が税込みであるか?
営業税は内税であり税金は価格に含まれていますが、増値税は外税であり価格に含まれていません。取引先との間で誤解が生じることを避けるため、契約をする際には価格に増値税が含まれているか否かを明確にすべきです。
3.商品毎に税率を確認する
「営改増政策」実施後、一つの会社が税率の異なる商品を販売する可能性がありますので、各々の商品について税率及び税金の金額を明確にすべきです。
4.虚偽の増値税発票を発行した場合の違約責任条項について
虚偽の増値税発票を発行することの法的リスクは非常に重たいものです。金額の大きい場合は刑事責任が追及される恐れもあります。したがいまして、取引先と締結する契約書において、発票を提供する当事者が違法又は虚偽の発票を提供した場合、これにより生じる損害の賠償責任を負う義務及び再度適法な発票を提供する義務を明定すべきです。また、増値税発票の認証には期限がありますので、発票を提供する当事者が発票発行後遅滞なく引き渡す義務を有すること、これに違反して相手方に損害を与えた場合には責任を負うべきことを契約書に約定すべきです。
5.営業税発行期間及び増値税発行期間を跨ぐ契約について
契約の履行時期及び納税義務の発生時期を確認し、納税義務の発生が「営改増政策」の実施前である場合は原契約のとおりに取り扱えばよいですが、納税義務の発生が「営改増政策」の実施後である場合は、相手方と補充契約を締結し「営改増政策」に対応した内容に修正をする必要があります。補充契約の締結にあたっては、「営改増政策」に応じて、契約金額、価格に税金を含むか否か、増値税の金額、提供する発票の種類などについて明定する必要があるといえます。

今回は、「営改増政策」について、初歩的な内容ではありますが、対応策について簡単にまとめさせていただきました。より詳細な内容や対応策について、興味のある方は、お気軽に大嶽までご連絡ください。

大嶽 徳洋さん広東盛唐法律事務所
SHENG TANG LAW FIRM
法律顧問
大嶽 徳洋 Roy Odake
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