中国法律コラム7「二人っ子政策について」広東盛唐法律事務所

2016/06/20

一、「二人っ子政策」の公布と「広東省人口および計画生育条例」の改正
2015年10月29日、中国共産党は第18回中央委員会第5回全体会議において、高齢化対策として、第二子の出産を全面的に認める新たな政策(以下、「二人っ子政策」といいます)を導入することを決定しました。そして、2015年12月30日、広東省の人民代表大会常務委員会は「広東省人口及び計画生育条例」の改正を発表し、改正後の「広東省人口及び計画生育条例」は2016年1月1日から施行されています。

二、「二人っ子政策」が企業に与える影響
「二人っ子政策」の施行により、女子従業者が第二子を出産する際にも、三期(妊娠期・出産期・授乳期)待遇を与えなければならなくなったため、女子従業者の雇用コストの増加が、企業にとって大きな懸念要素になると考えられます。
しかし、「婦女権益保障法」23条、27条には、「企業は従業者を雇用するとき、婦女に適さない職種および職場を除いて、性別を理由に婦女の雇用を拒絶したり又は婦女に対する採用条件を引き上げてはならない。いかなる使用者であっても、結婚、妊娠、出産休暇、授乳などの事由をもって、賃金を減額したり、労働契約を解除してはならない。」と定められています。したがいまして、女子従業者の適さない職場を除いては、企業は男女平等の原則に則って採用活動をしなければなりません。とりわけ注意すべきなのは、採用広告や内部規則などの文書において、女子従業者を差別するような記載をしてはならないことです。また、労働契約において、妊娠、出産、授乳などを事由に賃金を減額したり、労働契約を解除するといった内容を約定する場合、不当とみなされ、法的リスクを負うこととなります。
弊所のクライアントでは、総務部に7名の従業者が在籍しておりましたが、そのうち6名が22歳~35歳の
女子従業者でした。2016年5月からそのうちの3名が産休に入りました。また、もう1名の女子従業者が妊娠後に体調を崩し長期入院をしました。これにより、総務部の半分以上の従業者が職場を離れることとなってしまい、会社は新規に従業者を採用しなければならない事態となりました。また、新規採用により、これら休暇に入った従業者が職場復帰した後に業務を手配することが困難な事態に陥ってしまいました。この事例からわかりますように、二人っ子政策の施行により、今後は産休を取得する女子従業者が増加することが予想されるため、会社としては職場内部の男女比率を合理的に調整するとともに、会社内部での職場調整がしやすいような就業規則を整備することが急務になっていると考えます。

三、産休及び介護休暇の日数の改正
「広東省人口及び計画生育条例」の施行により、産休及び介護休暇の日数が変更されました。下表を参照に、皆様の会社の就業規則が適切に変更されているかをご確認ください。

四、まとめ
前述のとおり、今後は女子従業者が二人目を出産する場合でも、企業が三期(妊娠期・出産期・授乳期)待遇を与えなければならなくなったため、女子従業者の雇用コストは従前よりも高まったと評価できます。しかし、女子従業者の採用を抑制したり、出産などを事由に待遇を変更することは、不当な行為となり、企業にとって労働紛争リスクとなりかねません。なお、今後は出産休暇を取得する女子従業者が増加することが懸念されるため、従業者の男女比率を合理的に調整すること、並びに出産休暇を取得する従業者が多く出た場合に、適切に職場を調整することができるような就業規則を整備する必要性があるといえます。この点、皆様の会社におかれましても、留意いただきたいと考えます。

産休及び介護休暇          原規定(一人っ子政策)            現規定(二人っ子政策)
通常出産              98日(出産前15日)              98日(出産前15日)
晩産(女性満23歳の第一回目の出産) 15日(深圳は30日)              なし(深圳のみ15日)
「一人っ子優待証」を有する場合   35日                     なし
難産                30日                     30日
多胎児               15日/1人                  15日/1人
奨励休暇              なし                     30日
男子従業者の介護休暇        10日(「一人っ子優待証書」を有する場合)   15日

大嶽 徳洋さん広東盛唐法律事務所
SHENG TANG LAW FIRM

法律顧問
大嶽 徳洋 Roy Odake
中国深圳市福田区福華一路一号大中華国際交易広場15階西区
電話:(86)755-8328-3652
メール : [email protected]

Pocket
LINEで送る