輝く日本の先端技術力 「日清食品」

2016/05/30

人間の命を支える大切な「食」
その可能性を追求し夢のある美味しさを世界へ

日清シリーズどん兵衛
食の仕事は聖職だと唱え、世の中のために食を創造する「日清食品」。
新しい食文化の提案をし、人々に幸せと感動を提供することに挑戦してきた結果、同社の創造する製品は、日本のみならず世界中で愛されている。
ここ香港での人気ぶりは言うまでもないだろう。
「食足世平」、「食創為世」、「美健賢食」、「食為聖職」と4つの言葉を企業理念に、なお拡大を続ける同社の軌跡と技術に迫るべく、今回は、日清食品ホールディングス取締役中国総代表の安藤清隆氏にお話を伺った。

日清食品ホールディングス
取締役 中国総代表
日清食品(香港)有限公司 社長
安藤清隆さん
2009年、日清食品(香港)の社長に就任し来港。
中国総代表として中国全体を統括する。2014年に日清ホールディングス取締役就任。好きな日清ラーメンは、元祖「チキンラーメン」。休日は、家族と過ごす時間を大切にしている。
安藤さん

ECOカップ貴社はいつ頃から香港で事業を始められたのですか?
一番最初は、日本の「出前一丁」を香港に輸出したことから始まりました。ちょうどその頃、60年代の香港高度経済成長期や80年代の日本ブーム到来が重なり次第に需要も高まっていき、香港にて「出前一丁」を現地生産・販売するべく香港日清の設立に至ったのです。1984年に設立し、その翌年から生産・販売を開始しております。その後、1986年に「合味道(はっぷめいどう)」を発売。こちらは、声に出して読んでみると、“カップヌードル”に聞こえるということから名付けられました。

香港で事業を開始して以来、積極的に他ブランドも引き継いでいらっしゃるようですね。
はい。「永南食品」や香港ブランドである「福麺」は、今は弊社が引き継いでおります。特に「福麺」を製造していた以前のオーナーから、「リタイアするのでブランドを継承してくれないか?」と話が出た際には、真っ先にうちで引き継がせていただきたいと願い出ました。日清の創設者が安藤百福であることから、どうしても“福”という字にはこだわりたかったんです。

今や、火鍋レストラン、ローカルの茶餐廳でも提供されるほど大人気の「出前一丁」は、どのように香港人のライフスタイルに浸透していったのでしょうか。
日本ブームの高まりとともに、日本食は「最高品質」と「美味しさ」を兼ね備えたものとして香港人に認知されたことが追い風になったと考えています。また、即席麺に「ゴマラー油」をかけることでさらに美味しくなりますよ!という今までになかった新しい提案をすることで人気に火がついたのではないでしょうか。いい物はあるけど値段が高い…というのではなく、生活に取り入れやすく新しいものを提供し、消費者のためにどれだけ貢献するかという事業が受け入れられたのではないかと感じています。
また、カップヌードルの海鮮味は、海鮮といえどもスープベースは豚骨味です。その豚骨味の浸透を受け、2009年~2011年には、豚骨シリーズが登場しました。なかでも人気の「黒麻油味」は、ニンニクをよく炒めたことによってできた味なんです。中華料理では、まず油でニンニクを炒めて香りを出すことが一般的ですよね。まさに黒麻油は、香港の家庭の味、おふくろの味に近いのです。その後、スパイシーシリーズやご当地ラーメンの紹介など常に新しい提案をし続けています。

最新の商品は何がありますか?新商品
ちょうど先月、豚骨スープに力を注いだノンフライ麺の「出前一丁・棒丁麺(棒ラーメン)」を発売しました。ノンフライ麺とフライ麺の違いは、味の表現の違いだと考えているのですが、それぞれ違った美味しさがありますよね。フライ麺は、小麦を揚げた香ばしい味が美味しさを引き立てていますし、ノンフライ麺はスープが命。スープの味がストレートに伝わってくるので、豚骨の味の理解度が浸透してきた今だからこそ、その美味しさが伝わるのではないかと思います。
また、日本でお馴染みの「どん兵衛」の輸入も開始しました。759ストアにて先行販売していますが、スーパーマーケットでも販売していく予定です。

即席麺、カップ麺業界における貴社のシェアは現在どのくらいですか?
昨年の時点で香港内におけるシェアは、袋麺では約60%です。こちらの数字は、日清麺、公仔麺、福麺を含めており、日清麺だけでいうと、約40%を占めています。一方、容器麺では80%にも上ります。
ローカルレストランの茶餐廳などを含みと総需要は、約4億食ほど。香港の人口が約730万人なので、1人あたりが50食強食べていることになりますね。この数字は、まだまだ伸びると予想しています。

日々進化する即席麺、発売当初と変わった点、工夫してきた点があれば教えてください。製麺
約20年ほど使用していた発砲スチロール製のカップ(EPS)を、2009年に現在の「ECOカップ」に変更しました。これは、コーヒーカップでも用いられる環境に優しい紙カップ。バイオマスである紙を素材としており、発泡スチロールよりも紙のほうがCO2発生量は少ないということから採用されています。また、文字を印刷しづらかった以前のカップより、紙カップは細かい文字でも綺麗に印刷することができるため、レイアウトも見やすくなりました。どんな点が大変でしたか?
日本の長い歴史のある組織とは違い、新しいことを始める時の想定と結果の違いに戸惑いました。これは、日本の機械を持ってきたから作れるという問題ではありません。創造する香港の職人をまず育てることから始まります。人の育成から始まったこのエコプログラム。同カップには中味の美味しさをいかに伝えるかにも力を入れました。
また、香港導入後、2010年頃から中国本土でもECOカップを導入しようと調査を始めたのですが、当時プラスチックのカップを用いていた中国では、プラスチックと新しいECOカップどちらがエコかという問いに、大部分の方がプラスチックを指しました。その頃は、エコという意識がまだまだ薄い中国…、プラスチックの方が再利用できるという発想から来ていたようです。

今後の展開について教えてください。
今後は、香港を拠点に中国の事業をさらに拡大すべく計画を企てています。現在、グループ全体で中国に営業所は約50ヶ所ありますが、商品の良さをどのように伝えていくのかが課題です。弊社の即席麺の良さを伝えるには、まずは食べてもらうことが大事だと思っています。現在、中国本土では、年間約5万回の試食販売を実施していますが、香港人も中国人も価値があればお金を払う方たちなので、日本の良さは必ずや認めてもらえると考えています。

工場
ライン生産工場見学は行っていますか?
先月、福建省の厦門にオープンした工場にて、見学を行っています。製品を作る過程を見学することで中国でささやかれている“食品の安全性”がしっかりと見え、安心していただけるのではないでしょうか。
そしてここ香港でも、現在同じエリアにある工事中の新工場にて見学コースをオープンすることとなりました。9月頃のオープンを目指していますが、見学した後はラーメンを試食できるようなブースを作る予定です。日本では、カップヌードル博物館を横浜と大阪に設けていますが、将来的には日本と同じように香港にもオリジナルのラーメンが作れる体験型施設を作る予定でいます。ご期待ください。

日清食品(香港)有限公司
住所:11-13 Dai Shun St., Tai Po Industrial Estate, Tai Po
電話:(852)3406-6888
ウェブ:www.nissinfoods.com.hk

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