TPPで保険・投資はどう変わるか。Borderless Management & Investment Ltd.

2015/12/16

2015年10月、TPP(環太平洋経済連携協定)が大筋合意に達した。
TPPの交渉は2010年3月に始まったので5年半あまりの歳月を経て妥結し、世界GDPの4割を占める国の間での自由貿易協定ができあがった。自由貿易協定とはそれに加盟している国の間で行われている貿易に関する関税を撤廃することである。
例えばA国とB国ではそれぞれコメを生産しているがB国はA国の半分のコストで作っている。その場合B国のコメがそのままの価格でA国に輸出されれば国産のコメは売れなくなっ
てしまい、A国内の米作農家は困ってしまう。
そこでA国は輸入米に100%の関税をかけて国産の米と競争できるような価格に調整して国内の事業者を守るのである。これを自由貿易に対して保護貿易という。
保護貿易の下では健全な自由競争が阻害されて産業の合理化が進まないというデメリットがある。
だいたいどの国にも得意分野や主要輸出品があって、相手国には関税をかけて欲しくないと思っているが、海外からの安く良質な輸入品が入って来ることにより、自国で維持したい
産業が衰退すると困る場合は関税をかけて、それを自由競争から守りたい、という欲求が働く。その動機には自社の利益を守りたい国内の業界のエゴもあるが、食料の自給率確保など国策的に重要な課題もある。
いずれにしても各国がそうした自分の都合で動いた結果、国際間の自由競争は制限され、消費者が本来より高い価格でモノを買わされて不利益を被ってしまう。
こんな不合理なことはもうやめて、自由貿易により健全な域内の健全な発展をめざしましょう、というのがTPPの目的、いやむしろ「建前」である。
TPPには関税の撤廃だけでなく、「非関税障壁」と呼ばれる関税以外の国内規定で外国企業の参入を阻害している部分を排除する、という条項が多く含まれている。この非関税障壁の撤廃は日本の金融業界のあり方を大きく変えるかもしれない。
そもそも非関税障壁とは何か?
例えば日本には国民皆保険制度がある。
国民保険や社会保険という医療保険を国が主催しているのである。
日本国民はほぼすべての人がこの公的医療保険に加入していて毎月保険料を支払い、いざ医者にかかるときはその費用の7割を保険が負担することになっている。
ところが、この公的医療保険でカバーできる治療には範囲があって、最新の医療技術を使った治療や高級な治療は負担してもらえないことがある。
最新の医療で難病が治せるとしてそれを利用したいと思っても国民保険ではカバーされない。
病気の治療というのはいろいろなプロセスがあり、保険でカバーされる治療とカバーされない治療が一連の医療行為の中で混ざってしまうことがある。これを混合診療という。
この混合診療、日本では原則禁止されているのだ。あるいはどうしても混合診療を行う場合は医療費は全額自己負担ということになる。そうなると、多くの日本人は混合診療をあき
らめてなんとか保険の効く範囲内で治療をしようとすることになる。
従ってこうした最新の医療技術は自然に日本では発達しにくくなるが、海外ではこうした規定はないので盛んに開発されているのである。当然そうした海外の会社は関連の技術や
機械を日本に売りたいが、混合診療の禁止が原因で日本の市場にはなかなか入ってゆけない。
最新の技術を使って治療をしたい患者もたくさんいるだろうが、日本の公的保険制度があるために必要な人が利用できない。
関税ではなく、日本政府の規定が障害となって自由な交易が阻害されている。これを「非関税障壁」というわけだ。
農産物や車の関税撤廃が盛んに問題視され、喧しい印象のあるTPPだが、実はこの非関税障壁の排除もかなり重要な部分を占めている。そしてその影響をもっとも大きく受けそう
なのが、本来関税の発生しない金融分野であるのだ。

玉利将彦(タマリ マサヒコ)さん玉利将彦(タマリ マサヒコ)
上海と香港を拠点に活動し、中国在住歴は18年に渡る。香港の証券取扱免許(SFC)と保険取扱免許(PIBA)を保有する資産運用アドバイザーとして、顧客のライフプランに即した投資計画の立案及び積立ファンド・保険の仲介、HSBC香港BOOM証券・中国銀行など海外の有名金融機関の口座開設・運営サポートをおこなっている。

 

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