工場の生産管理講座第5回「品質の改善測定データの自動記録・分析」石水智尚

2015/11/17

品質の改善̶測定データの自動記録・分析̶

生産管理の仕事は、製造の前工程と後工程に分かれます。前工程は製造の為の資源(設備・資材・人)の準備が中心です。後工程では、データ(消費した資源・製品の品質・出荷数量など)の管理が中心となります。

資源の消費や出荷についてはERPシステムで管理します。資材や製品の出入庫をバーコードで容易にトレースできるようになりますが、これと同様に品質の管理については、測定データの自動記録システムがあると、トレースが容易になります。そこで今回は、測定データの自動記録システムについて説明します。
品質検査の現場では、ワーカーが測定器(ノギス、マイクロメーターなど)を使い製品の寸法や厚さなどを計測して、良品か不良品を判別し、紙の伝票へ記録しています。ところが、これらの測定器は近年はデジタル化され、データ出力端子を標準装備しているものも少なくありません。そこで、測定器をパソコンへ繋ぎ、測定結果の出力を自動でパソコン側へ記録させれば、作業時間が減り、作業精度が向上します。

パソコンによる自動計測は以前から製造現場で行われてきましたが、計測対象とパソコンをRS232C等の線で繋ぐのが面倒でした。また、対象となる計測器が多い場合、パソコンをたくさん用意するとコストが高くなります。そこで近年は、RS232Cのかわりに無線で接続し、複数の測定器を1台の受信機に繋ぐようにする事で、安価かつ容易に、測定の自動化を実現できるようになりました。

パソコンによる自動計測は、測定時の作業時間短縮と精度の向上につながるだけでなく、紙の記録伝票の代わりに電子データで記録しているので、紙伝票の長期保管という問題を解決してくれます。

パソコンによる自動計測は、品質検査の他に、製造装置(成形機や電炉の温度など)の実際の稼働情報の自動計測にも大きなメリットがあります。製造装置の運転状況が原因で不良が発生した場合、そのロットで製造状況を迅速に検索して分析を行う事ができるからです。

検査データの自動記録

【筆者プロフィール】
石水智尚(いしみず・ともひさ)
85年に香港へ来て以来、海外生活30年。販社・工場のシステム開発・プロマネ・生産管理のコンサルなどに携わる。98年から2年間、セブで開発センターの立ち上げにも従事。2007年より華南で生産管理のコンサルを開始して現在に至る。Asprova販売代理店、TPiCS販売代理店と共同での運用支援。

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