尖沙咀2周年のバー「酒の一滴」伝説のママ熊谷真希さんインタビュー

2015/11/17

12月8日で2周年を迎えるバー、「酒の一滴は血の一滴 涙こぼしても酒こぼすな」。エレベーターで16階に降りてすぐの赤い扉を開けると、そこにはテーブル席1つとカウンター11席のこぢんまりとした空間が広がっている。同店のオーナーは、香港にオープンする以前、広州でバーを切り盛りしていた経験を持つ、伝説のママ熊谷真希さん。店内には、同氏のお父様が撮影した日本の写真や、お母様お手製の布でデザインされた掛け軸などが飾られ、洗練されすぎない落ち着いた品の良さが感じられる。いつもインパクトのある広告がゆえ、「どんな店なんだろう?」と気になっている人も多いのでは?今回編集部は、そんな真希さんに2年間を振り返っての気持ちをインタビューした。

酒の一滴は血の一滴 涙こぼしても酒こぼすな バーの看板

 

あっという間の2年間。
実は人見知りする性格?!
オープンしてからこの2年間について、「とにかく早かった!最初の1年が過ぎるのも早かったけど、2年目はそれ以上に早く感じました」と語る真希ママ。「お客様からは色々なことを教えていただき、助けてもらった。おかげで、目の前の事に集中するだけではなく、最近は先の事まで考えられるようになった。素敵なお客様に囲まれ自分は運がいいと思う」と振り返る。
個性的なヘアスタイルで一見派手な性格のように見えるが、ママと話していると、謙虚で周りへの感謝の気持ちを忘れない人であるというのがとてもよくわかる。それゆえに、香港は素より中国からもお客さんが来てくれたり、旦那さんが奥さんも連れて一緒に来店したりと、多くの人から愛されているのだ。そんなママ、どんな相手ともすぐに打ち解けてしまう印象を持っていたが、意外や意外、なんと元々は人見知りする性格なのだそう。「お酒という共通点と、香港に住んでいる同胞という共通点があるから成り立っている」のだとか。真相を確かめにお店に行ってみるのも良いかもしれない。

1人で来店しても、帰るころには隣の人と仲良しに
バーと聞くと、敷居が高くて入りづらい…と思っている人も多いだろうが、同店は大丈夫。安心して訪れてほしい。記者もお店を利用したことがあるが、隣に座っている人からカウンターの奥の人まで自然と会話が広がる、そんな温かくて不思議な空気がこの店にはあるのだ。実際に、このバーで出会ったのがきっかけで仲良くなり今では一緒に来店するようになった、というお客さんもいるそう。香港に来たばかりの人もここに来れば何かしら楽しい情報を得られるかも?もちろん女性も大歓迎!

「楽しかったよ」の一言が何より嬉しい
在り来たりの質問だが、仕事のやりがいを尋ねてみると、酒の一滴らしいちょっと意外な答えが返ってきた。「『美味しかった』というのはどこの店でもあることですが、『楽しかった』と言ってお客様が帰っていかれるとき、この仕事をやっていて本当によかったなと思います。私の店に来て楽しんでいただけるのが何より嬉しい。それから、『頑張ってね』という言葉も毎回とても励みになります」とのこと。そう語るママの表情は心の底から嬉しそうだった。
一方、苦労した点を伺ってみると、「楽しくてつい飲みすぎちゃうこと!」との答えが。「うちに来てくださるお客様はキャラが濃い方が多いんです。いつも笑いすぎて腹筋が鍛えられます(笑)」と教えてくれた。たとえ辛いことがあったとしても、全てプラスに変えてしまうパワーを持っていそうなママ。仕事や人生に行き詰ったときこそ、同店の扉をノックしてみよう。
最近は同じビルに2号店「カラオケすなっくμ(ミュー)」をオープンした真希さん。「酒の一滴」で腹ごしらえをした後に「μ」で二次会、なんていうのも良いかもしれない。これからも香港在住の日本人の心のよりどころになること間違いなしの同店。ママが酔っていなければ、メニューに載っていない「ナポリタン」が食べられる!まだ訪れたことのない人はぜひ。

profile

 

熊谷真希さん
宮城県塩釡市出身。旅行で訪れた香港に魅せられたことがきっかけで、広州に語学留学。北京語を学ぶ。深センでの就職を経て、広州で焼酎バーのママに。これまで広州で、時と場所を変え、3軒のバーを切り盛りしてきた。その後充電期間を得て、2013年に、尖沙咀(チムサーチョイ)に現在のバーをオープン。

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