「月次給与計算業務の地域一元管理」TMF Group 浅田緑

2015/10/19

香港地域統括会社、或いは社内(域内)のシェアードサービスセンターを使った月次、年次コンプライアンスの一元管理を既に導入している、或いは導入をご検討されている日系企業は多いのではないでしょうか?ただ、香港は日本本社との地理的、時間的な近さもあり、外部のサービスプロバイダーへの業務アウトソーシングを伴った本格的な地域一元管理を行っている日系企業はまだまだ少ないように見受けられます。逆に欧米系企業では、本業に特化し、地域単位での管理業務の思い切ったアウトソーシング、一元管理を行っている企業が多く見られます。今回は、外部サービスプロバイダーへのアウトソーシングを伴った非日系企業(欧米企業)のAPACでの給与計算業務の一元管理の例を二つ見ていきたいと思います。

クライアントA

クライアントB

簡単ですが、ご参考までに外部の専門サービスプロバイダーを使い、地域単位での給与計算業務の一元管理を導入する際の管理のポイント及び事前の検討項目を以下の通りまとめてみました。

管理のポイント、事前検討事項

●複数の国を網羅する、包括業務委託契約書(Master Service Agreement)の締結は可能か?

●スタンダードのスコープに含まれていない追加作業が必要となった場合の承認手順、承認作業に必要な書類(例、事前に合意したChange Request Formに基づく承認手続き)

●請求書の発行先、通貨の確認(例、請求書は各国ごとに現地のクライアント企業あてに現地通貨で発行すべきか?或いは、地域本社宛に一括請求を行うべきか?その場合、請求通貨はどうするのか?また、単一通貨での一括請求に伴う為替リスクは誰が負うのか?)

●各国ごとに現状での給与支給日が異なる場合、アウトソーシングに際し、各国の給与支給日を統一する必要があるか?

●以下の点を考慮した、各国ごとのペイロールカレンダーの作成
◆各国ごとに異なる銀行への送金指示の締切日
◆現地の祝日
◆クライアント側での承認作業、ファンド送金に要する日数

●何らかの予期せぬ問題が生じた際の、クライアント側、サービスプロバイダー側それぞれのエスカレーションポイント、プロセスの合意

●クライアント、サービスプロバイダー双方の、各国担当チームの正しい把握

浅田緑(あさだ・みどり)

〈執筆者プロフィール〉

浅田緑(あさだ・みどり)
TMF Group日本企業事業部(APAC)
アソシエイト・ディレクター、英国勅許税理士。

 

 

世界4大会計事務所のロンドン、香港事務所での駐在員税務分野における10年以上に渡るコンサルティング経験を持つ。2012年10月より、世界80ヵ国に120の拠点を持つグローバルファーム、TMF Groupの一員として、香港を拠点に広くAPACの日系企業に対し、税務、会計、法務事務、人事・給与計算に関するコンプライアンス及びコンサルティングサービスの提供を行っている。

TMF Group

電話:(852)3188-8216
Eメール:midori.asada@tmf-group.com
サイト:http://www.tmf-group.com

*上記はあくまで一般的なルールです。個別のケースについては別途各アドバイザーにご相談下さい。

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