香港バレエ団(香港芭蕾舞團)日本人ダンサーにインタビュー2

2015/09/14

ぜひ会場に足を運んでいただきたいですね。

8月から2015/16シーズンが始まった香港バレエ団。国際的に高い評価を受けている香港バレエ団には現在7名の日本人ダンサーが活躍している。先回(No.503)に引き続き、3名のダンサーに香港バレエ団や新しい公演についてお話を訊いた。

◆香港バレエ団の雰囲気は?
有水:アットホームで温かい。もっとピリピリしてるのかと思いましたが、みんなフレンドリーで和気藹々としていますね。色々な国のダンサーそれぞれ個性豊かですが、日本人ダンサーはみんながみんな真面目。コツコツとストイックで日本人だな~と思う時がよくあります。
森脇:日本のバレエ団は物事に細かく、楽屋の席順とかある時も。こっちは名前が振り分けてありとても楽ですね。

香港バレエ団 練習風景◆現在11ヶ国のダンサーたちが在籍しているのですよね?
菅原:アメリカに居た時から感じていますが、欧米のダンサーたちは見た目が華やかで、何をするにもダイナミック。踊っている時に自然と表情が出る。そういう良いところは盗んで、自分でアレンジして、全員から影響を受けています。
有水:みんな刺激し合っていますね。彼らはふっとした瞬間が格好良かったりするのですが、日本人である自分は細かいところまで意識しながら演技するようにしています。

◆日本と海外のバレエ環境はどのような違いがありますか?
森脇:世界には政府のバレエ学校があって、システム・カリキュラムが整っています。その道を通ってプロになるのですが、日本にはそのようなバレエ学校はないので、留学するか、自分の通っているバレエスクールで頑張って、日本や海外のオーディションを受けます。合格したらカンパニーに所属してお金を貰うという感じですね。
有水:日本ではプロになるのはとても難しい。日本には資格が無いので、「これをしたらプロ」というものない。日本では給料をもらえず、仕事して扱われないことも。「職業バレエダンサー」という地位が無いのが現実ですね。
菅原:バレエ団は基本的に単年契約なので、ずっと居られる保障はありません。契約更新を取れるかどうかは、常日頃の演技に掛かっていますね。
香港バレエ団 練習風景2      香港バレエ団 練習風景3
◆菅原さんご自身が振り付けされた作品が公演されるとお伺いしましたが?
菅原:ワークショップとして、1年に1回、何人かのダンサーたちが振付をする公演があるのですが、今回は香港バレエ団のダンサー4人に加え、香港で活躍する振付家3人を合わせた計7人が参加し、それぞれの作品を作ります。これらの作品は10月の公演で披露されるので楽しみにしてください。

◆以前から作品を作ったりしていたのですか?
菅原:はい。その時はスタジオの生徒たちとやったのですが、同じくらいの年代の人たちとだったので楽な部分もありました。今回はプロになって初めて。プロのダンサーと取り組める事にワクワクしていますし、アメリカに居る時からまたやりたいと思っていたので、やっとチャンスが来たという感じです。
香港バレエ団 本番舞台 香港バレエ団 デザイン
◆今シーズンに向けての意気込みをお願いします。
有水:香港バレエ団は大きなカンパニーですが、意外と日本人の間では知られていません。たまたま知り合った人に自分がバレエダンサーということを話すと、見に来ていただけたりします。「バレエを知らなかったけどすごくいいね」とリピーターになってくれる人もいます。香港はアジアだけど香港バレエ団もアツい、負けてないというのを体で伝えたいですね。
森脇:もうほとんど言われちゃいましたね(笑)。一人でも多くの人にバレエの良さを知ってもらいたい。自分もいつまで踊ることができるか分からないので、悔いの無いように踊りたい。自分の持っている何かを観衆の皆様に伝えられたらいいですね。
菅原:香港バレエ団は、たくさんの公演があり、一ヵ月おきに全然違うタイプの公演があるのも魅力です。どれか興味を惹かれるものが絶対にあると思います。日本人にも馴染み深いロミオとジュリエットも公演されるので、ぜひ足を運んでいただきたいですね。

香港バレエ団 次の公演予定 Choreographers’ Showcase 2015 2015年10月2~3日(20時開演)、4日(15時開演) 場所:Hong Kong Cultural Centre

有水俊介
【有水俊介さん】
10歳よりMinoriBallet Studioにて秦美法、柴田英悟に師事。2009年より日本バレエ協会公演、バレエシャンブルウエスト、井上バレエ団の公演白鳥の湖、眠れる森の美女、くるみ割り人形などに出演。2010年、全日本バレエコンクール男性の部第2位。同年、文化庁主催、日本バレエ協会ツアー公演「くるみ割り人形」にて主演。2012年より香港バレエ団所属。

森脇友有里
【森脇友有里さん】
4歳よりバレエを始める。1992年橘バレエ学校入学。1995年 AMステューデンツ21期生合格以後、牧阿佐美に師事。2005年橘バレエ学校卒業。同年、牧阿左美バレエ団入団。ドゥミソリストとして数々のレパートリーを踊る。(白鳥の湖、眠れる森の美女、くるみ割り人形、ドン・キホーテ、リーズの結婚、ノートルダムドパリ等)。2014年香港バレエ団に入団、現在に至る。

菅原愉依
【菅原愉依さん】
4歳よりバレエを始める。2012年ローザンヌ国際バレエコンクールのシニア部門準決勝進出。2013年ユース・アメリカ・グランプ(YAGP)クラシック・コンテンポラリーシニア部門銅メダル。2014年にアメリカのエリソン・バレエ学校のプロフェッショナル・トレーニング・プログラムを卒業。同年香港バレエ団入団。

香港芭蕾舞團 Hong Kong Ballet
住所:G/F., 60 Blue Pool Rd., Happy Valley
電話:(852)2573-7398
メール:marketing@hkballet.com
ウェブ:http://www.hkballet.com
公演スケジュールやチケットに関しての詳細はウェブサイトをご覧下さい。

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