香港ビジネスソリューション LIMITED(香港BS)木谷香織さんにインタビュー

2015/07/21

中国に憧れた少女が上海留学を経て、香港で就職。以降、留学で身につけた中国語を活かして、広東省での工場の立ち上げや香港で貿易業務に携わる。こうした実践で得た経験・ノウハウを生かして、ビジネスコンサルタントとして日本企業の香港進出等をサポートする香港BSの木谷香織さん。お話を伺っているうちに、物静かな女性という初対面の印象が変わっていく。

木谷香織 香港BS香港ビジネスソリューション LIMITED (香港BS)
シニアコンサルタント 木谷香織さん インタビュー

子ども時代から中国に憧れていたそうですね。きっかけは?
子どものころから本が好きで、特に日本史関連の本を読み漁っていました。そのうちに、日本の歴史にも大きな影響を与えた中国に興味を持つようになりました。
そんな高校2年生の時、中国を訪れる機会を得ました。私の高校があった香川県善通寺市は、弘法大師こと空海の生誕地。遣唐使として唐に渡り帰国した空海が長安(現在の西安市)にある寺を手本に建立した善通寺があります。その縁で、善通寺と西安市は姉妹都市の協定を結んでいました。その交流10周年の記念行事として、香川県が県内の高校生を交流のため、中国に派遣したのです。
その1人として、私は北京と西安を訪れました。当時の中国はまだ開発されておらず、とてものんびりした雰囲気で、行き交う人は人民服を着ていました。西安の空港から市街地へ向かう道の周辺には、トウモロコシ畑が広がり、その間にポツリ、ポツリと古墳が点在。それが夕日に映えて、とてもきれいでした。この訪問でますます中国に憧れるようになり、中国の上海外国語大学に2年間留学しました。

留学後は香港で就職。なぜ香港で?
留学して中国語が使えるようになったので、日本には帰らず、中国語を活かして仕事をしたいと思いました。上海も就職先として考えてはいました。でも中国で生活していると、学生でも中国人と一緒に仕事をするのは難しい面が多いことが感じられるようになりました。日本人と中国人では、仕事に対するマインドや責任に対する考え方が違うからです。そんな折、旅行で1週間ほど香港へ。香港の方はとても親切で礼儀も正しく、いいところだなという印象を受けました。そこで上海と香港で就職活動をスタート。運よく最初に香港で就職が決まり、2002年の始めに香港に来ました。

香港での就職について周囲はどのような反応でしたか。
上海にいたので周りの日本の友人からは「やったね!」「都会に行くんだね」などと羨ましがられました(笑)。香港は中国に住んでいる日本人や中国人にとっては憧れの場所でした。私も当時、香港を海外の先進国の一つのように思っていました。

どのような会社に就職されたのですか。
日系の漢方薬局でした。ユニークな会社で、漢方薬が本場の香港で、日本の厚生労働省の認可を受けた質のよい日本の漢方薬を売り込もうと考えていました。確かに高品質なメイドインジャパンの漢方薬のファンもいたのですが、2年で香港から撤退しました。
木谷香織 香港ビジネスソリューションその後、広東省にある日系企業に就職し、1年間香港を離れました。その会社では開発区での工場の立ち上げから参加しました。秘書兼通訳エトセトラ、何でもやりました。まだ中国人のスタッフがおらず、中国語を話せるのは私だけでしたので、貿易関係の手続きで税関に行ったり、工場に日本製の設備を搬入したり…。また、下請けになってくれる工場の開拓や技術指導に行く日本人上司と一緒に華南地区をあちこち駆け回りました。技術指導というよりかは概念指導に近いものでしたね。中国人は最低限の品質基準さえクリアしてればよいという考え方でしたので、日本のお客様目線に立って、細かいところまで気を配って、商品を作ることをわかってもらうのが大変でした。「合格品なのになぜダメなのか…」とよく詰め寄られました(笑)。
こうした業務を通じて、多くのことを学ばせていただきました。それを活かして香港の日系商社に転職し、6年間日本と香港、中国、東南アジアなどの貿易業務に携わり、さらに会計士事務所で3年間コンサルティング業務に従事し、現在は香港BSのシニアコンサルタントとして活動しています。

現在のビジネスコンサルタントとしての香港BS社の仕事につながっていくわけですね。
はい。香港BSでは、主に日本企業さんを対象にビジネスの立ち上げや会社設立等のサポートをさせていただいています。具体的には、香港に進出される前の市場調査からビザのサポート、通訳・翻訳、ウェブサイトの構築やリスティング広告、事業立ち上げ後の人事やコンサルティング等まで、多岐にわたっています。強みは、どんなことでもご相談いただければ解決できるお手伝いができるということです。例えば「トラブルがあった」「イベントをしたい」等々、弊社内だけでなく、解決策をもっている専門家やプロをご紹介させていただくこともできます。香港の「万屋(よろずや)」のような存在になれればうれしいですね。
また香港BSはウェブサイトが充実しているので、アクセスしていただければ、「会社設立」など必要な情報を得ることができます。有益な情報はみんなで共有しようというスタンスで、無償で情報を提供しています。

そうした貴社の姿勢も、木谷さんに合っていらっしゃるのでしょうね。ご自身のお仕事はいかがですか。
香港BSではやりたいことをやらせていただいています(笑)。私の仕事は、日本企業さんが成功するお手伝いをすることなので、日々やりがいを感じています。日本企業さんが香港でビジネスを立ち上げて利益を生むようになれば、日本が元気になる。香港の人には日本の商品やサービスを通じて、「日本っていいね」と思ってもらえるようになる。―そう信じて仕事をしています。私は通訳として日本企業をアテンドして香港の企業を訪ねることもありますが、香港の企業との出合いも新鮮で楽しいですね。
ただ同じ問題を解決するに当たっても、お客様によって状況が違うので、自分をスキルアップして、もっと早く的確な判断ができるようになりたいと悔しい思いをすることもあります。

リフレッシュはどのように?木谷香織の休日
週末は友人と、中国人がやっている店の餃子や、手軽に食べられるベトナム・タイなどアジア料理の食べ歩きを楽しんでいます。美術館や博物館へ行くことも。本が好きなので、何もない時は家で本を読んでいます。最近、日本語では日本史関係、中国語ではアメリカの書籍を中国語に訳した歴史関係の書籍を読みました。

香港は女性が働きやすいといわれますが…。
そうですね。香港では、男性、女性という枠を感じることはないですね。感じるとすればオフィスで、水のタンクなど重いものを持つ時でしょうか(笑)。男女を問わず、「○○さんは得意だからコレをやる」というのが香港のスタイルです。能力主義といえば良いのでしょうか。そういった環境が香港にはあると思います。
香港は魅力的な場所ですが、仕事をする上で、あ・うんの呼吸はありません。香港人と日本人では役割分担や責任の振り方が違うことを理解すれば、仕事はやりやすいと思います。
香港で活躍されている女性の方は、優秀で皆さんがんばっていらっしゃいます。お手本にしたい方がいっぱいいます。

今後の目標を教えて下さい。木谷香織 古都の会
やはり日本企業さんの香港進出をお手伝いすることです。なぜ香港なのか…。香港は法律が明確で税金が安く、親日なので、日本企業さんが進出しやすい条件が整っています。逆にいうと、海外進出のビギナーの企業さんが多いのです。だからこそ、日本人の私たちが、きちんとフォローさせていただければと思っています。
その延長で私たちがもっと香港のマーケットへ入っていくことができたら、香港と日本の企業をつなぐ面白い事業ができるのではないかと考えています。すでにそうした取組みにも着手しています。弊社のフェイスブックは、日本語だけでなく、香港人に向けて発信する中国語のバージョンがあり、私が担当しています。
香港の方は旅行好きなので、大手旅行代理店とは違う視点で情報を発信しようと考えて、少し前になりますが、このフェイスブックに日本のイチゴ狩りの情報を載せました。九州だったらいつ、四国だったらいつがシーズンという形で紹介したら反響が凄くて…。「〇月に日本の△△へ行くのですが…」という問合せに答えていたら、いつの間にか、インフォメーションセンターのようになっていました(笑)。フェイスブックを通じて、あまり知られていない日本の地方都市の魅力も伝えていきたいと思っています。また、そこから香港の方のニーズを汲み取ってそれをビジネスに活用していければと考えています。

 

木谷香織インターネットTV出演木谷香織 展示会

HK Business Solution Limited(香港BS)
住所:Flat 1, 5/F, Cammer Commercial Building, 30-32 Cameron Road,
Tsim Sha Tsui
ウェブ:香港ビジネスソリューション
電話:(852)2529-8288
メール:contact@hongkong-bs.com

木谷香織(きたにかおり)さんプロフィール
歴史好きが講じて中国に興味を持つ。高校を卒業後、2年間の上海外国語大学に留学を経て、香港の日系漢方薬局に就職。以降、数社の日系企業で経験を積み重ね、現職に。堪能な北京語・広東語も活かし、ビジネスコンサルタントとして、日本企業の香港進出をサポートする。香港で暮らし始めて15年目。趣味は読書・ピアノ。読書は日本語と中国語で歴史関係の本を読む。大人になって香港で習い始めたピアノ歴は8年。

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