企業解散による労働契約終了時の注意事項第一部。広東君厚法律事務所

2015/06/29

【広東君厚法律事務所】
◆広東君厚法律事務所管理委員会主任 パートナー弁護士 欧陽 鋒

企業の解散は、数多くの従業員に影響を与えるため、企業解散により従業員労働契約を終了する際に、企業が経営上の自主権を行使すると同時に、従業員の合法的権益の保護を図る必要があります。2回に分けて、法的リスクを低減するための5つの注意事項を考えます。今回、第一部では、企業解散の実体と手続きの合法性、労働契約終了予定の従業員の職場(部署)が清算業務に関連している場合について取り上げます。

1.企業の解散事由が法律法規または定款の定めに合致しているか
企業に法律または定款に定められている解散事由が生じた場合、初めて解散の前提条件を備えたことになります。この事由をもって下された企業解散決議は実体上の合法性を備えます。会社法第181条、第183条により、企業・会社の解散事由として5つ事由が挙げられています。第181により、企業が繰り上げ解散を決議できる事由は次のとおりです:(1)定款に定められている解散事由が生じているとき。(2)株主会または株主総会が企業の解散を決議するとき。また、「外資企業法実施細則」第70条により、次の事由が含まれています:(1)経営が不適当で、赤字が甚だしく、外国投資家が解散を決定するとき。(2)外資企業の定款に定められるその他の解散事由が生じているとき。
要するに企業解散時に上記の法律および定款の条項を総合的に考慮して、企業解散に実体上の合法性があるかどうかを判断します。実体上の合法性がなければ、企業による労働契約の終了は違法となるおそれがあり、労働契約の継続履行や勤続年数に応じての経済補償金の請求を受ける可能性があります。

2.企業解散の手続きは法律法規または定款の定めに合致しているか
企業解散の手続きについて、確認すべきポイントは次の通りです:
a.株主会・株主総会は定款に定められている手続きに応じて招集・開催されているか。
b.定款の議事則に従って企業解散の株主総会の決議を通しているか。
c.外商投資企業の場合、解散は当局の審査・許可を取得しているか。
d.清算グループを即時設立して、グループ・メンバーのリストを企業登記機関に登録しているか。
e.清算グループは法に則って清算業務を実施しているか、など。
企業解散の手続きが合法的であり、正常な経営が停止しており、清算手続きに入るまたは確実に入る予定である場合、企業は従業員との労働契約を終了するための前提条件を満たしたことになります。この条件を満たさずに労働契約を終了するならば、企業には労働契約違法終了の法的リスクが生じる恐れがあります。

3.企業解散による労働契約終了予定の従業員の職場(部署)は清算業務に関わっているか
企業解散後、清算手続きに入りますが、企業の法人格は依然存続しています。企業は、清算目的を遂行するための経営業務を除き、他の日常業務をすることはできません。つまり、この時点では、清算業務に関わる職場(部署)はまだ終了していません。企業は清算業務の範囲内に上記の職場(部署)を保持し、労働契約の内容を変更して、清算業務の完了まで労働契約を継続履行する必要があります。(続く)

欧陽 鋒 弁護士欧陽 鋒 弁護士:現在、広東君厚法律事務所管理委員会主任、パートナー弁護士。10年間、中国の大手企業「中石化」および不動産企業「恒大集団」にてHRマネージャとして勤務。その後の10年間、弁護士として活躍。得意の分野は労働法、M&A、会社法、契約法、安全生産法など。広東省弁護士協会労働・社会保障法律専門委員会委員、広東省企業権利維持顧問団顧問、および広州市工会従業員法律を含む弁護士団メンバー。受賞歴:広州市弁護士協会2010年度「社会安定維持賞」、広州市弁護士協会2012年度「業務成果賞」。

Pocket
LINEで送る