新しい関税企業信用管理制度について第二部。広東君厚法律事務所

2015/06/15

【広東君厚法律事務所】
◆顧問 周軍偉

中国の社会信用システムの構築および公平な市場競争促進に対応するため、中国税関は、新しい「企業輸出入信用管理制度」(以下「同信用制度」という)を導入しています。第一部では、新しい制度の概略と、信用等級の変更についてご説明しました。第二部では、新旧管理制度の移行と、企業信用情報の開示の二点に焦点を当て、新制度へ対応する上で役立つポイントをご提案いたします。

新旧管理制度の移行
これまでは、税関に登録している企業を経営管理状況や税関申告などにおける信用度に応じAA類からD類までの5段階に分類してきましたが、この分類を下記のとおり「高級認証企業」、「一般認証企業」、「一般信用企業」、「信用喪失企業」の4種類に再編することになります。
新旧管理制度の移行企業等級認証の認定では、「税関認証企業標準」(税関総署公告2014年第82号)に則て税関登記企業の点数計上・控除が行われます。企業等級認証の税関登記企業に「自己評価報告書」の提出も求められているため、認証申請前に、社内の自社検査を行う必要があります。なお、企業等級認証認定の基礎とする税関による信用情報に対し異議の提出も可能です。

企業信用情報の開示
国家機密や商業機密および個人プライバシー保護を前提として、中国税関の企業輸出入信用情報プラットフォームを通じて、税関登記企業の登記情報や税関による企業信用状況の認定結果、税関行政処罰情報などの信用情報が社会に開示されます。一回の税関行政処罰の開示期間は5年間となっているため、税関登記企業にはこれまでより厳格な管理が求められています。税関登記企業の信用状況に影響を与えないためにも、税関による処罰を避け、税関の関連規定を厳しく遵守しなければなりません。

提案
同信用制度の実施により、企業等級認証の認定基準は厳しくなっているため、税関登記企業にはより厳格な運営が必要となります。認証企業として認定されるよう、デューディリジェンスや評価報告などに関しては、必要に応じて税関法の専門家に協力してもらいながら認定基準に則った社内体制を整備しましょう。また、信用情報の開示制度に伴い、税関登記内容や税関業務の実施状況については、適正な管理を行ない、税関への登録登記情報に虚偽の情報がないよう内部統制をしっかりと機能させ、税関・貿易分野のコンプライアンスについての全体的な見直しが必要になるでしょう。

周軍偉顧問周軍偉顧問:実習弁護士、中級会計検査官、会計修士号取得。得意分野は、税関法、輸出入貿易、政府事務協調、税法、融資など。2014年8月に広東君厚法律事務所入所。それまでの12年間、税関正科級幹部として、税関関連の部署を経験。税関検査、税関関税徴収などの分野においても豊富な経験をもつ。また税関部門の講師も兼任していた。税関部門による個人賞7回受賞。中山市青年ベテラン等栄誉を獲得。広州某国営企業の税務調査(企業の刑事責任の回避)を担当。普通貨物密輸嫌疑事件における陳氏側代理人(税関刑事調査機関による事件取消し)。広州市蘿岡某日系企業従業員の急死事件(労使両者和解)を担当。

Pocket
LINEで送る