「香港和僑会定例会」講師 A-1 BAKERY 楊井 元伸氏

2014/10/27

香港で設立30周年を迎えたA-1 BAKERY 楊井氏が「これまでの経営とこれからの経営」について語る。

楊井 元伸

10月15日(水)香港和僑会は、講師にA-1 BAKERYの楊井 元伸氏を迎え、第110回目となる定例会を開催した。今回のテーマは、楊井氏がA-1 BAKERY設立からの30年を振り返っての「これまでの経営とこれからの経営」。これまでほとんど講演の依頼を引き受けてこなかった楊井氏だが、A-1 BAKERY設立30年の節目ということで今回の講演が実現した。この貴重な機会に、会場にはおよそ40名の会員やゲストが集まった。
楊井氏はまず今までの経営について語ってくれた。楊井氏はこの30年間、パンやケーキだけでなく、カフェやファストフード、ビアーハウス、ラーメン等の事業展開、店舗や工場での社員教育、経営改善、多店舗展開など、様々な挑戦をしてきた。これらの挑戦の中で、重要だったことは、”人との出会い”だったという。
香港に出店してからおよそ5年後の1991年、経営が軌道に乗り始めたころ、ジャスコ(現:イオン)の会長との出会いがあり、交渉の末にジャスコへの出店が決まった。それからジャスコ内の店舗数は増え、現在もその数は増え続けている。1997年には、シティスーパーの会長から出店の依頼を受け、シティスーパーにも店を構えることとなった。世界中の高級食品を扱っているスーパーへの出店は、香港でA-1 BAKERYというブランドイメージを作る上でとても重要なものとなった。そして、2011年楊井氏は中国でトヨタ系の日系商社との合弁会社を立ち上げ、トヨタ生産方式の主要な考え方である”カイゼン”を学んだ。この”カイゼン”とは、徹底的に無駄を省くという考え方で、その後のA-1 BAKERYの経営や工場等の管理やシステムに大きな影響を与えた。1つの例を挙げると、A-1BAKERYで人気の「もちもちパン」の製造を機械化したことで、人員は1/7になり、製造時間を5時間も短縮することができた。人の手でしか作り出せないと思っていた食感を変えずにパンを作るのは容易ではなく、機械についての更なる知識と研鑚が必要だったが、試行錯誤の末、もちもち感を失わない新しい機械の導入が実現し、工場における合理化に成功したのだという。
次に、楊井氏は、これからの経営について語ってくれた。これから注目すべきは”隙間”だという。現在の経営環境は厳しいが、自分の経験を活かし隙間を突けば、経営のチャンスはまだまだあるというのだ。楊井氏自身、今までの製パンの経験から、冷凍パン生地の中国への輸入、飲食の経験からクッキングスクールの開設、有名シェフとのコラボレーション企画、といったアイデアを実現すべく行動している。30年間の経営を続けてきた楊井氏のこの考えは、現在経営者である、またはこれから目指している参加者たちにとって、「隙間を突くには、自分のどの経験をどのように活かしたらよいのか」ということを考えるきっかけとなるだろう。講演後には懇親会が行われ、参加者たちは、食事をしながら名刺交換や講演の感想を語り合い、交流を楽しんだ。

香港和僑会 定例会

香港和僑会オフィス
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