教えて！総経理！第5回【JCBインターナショナル（アジア）リミテッド市野智也氏】

2022/11/09

競争の激化する香港でどう生き残るか
海外渡航再開を受けて巻き返しを図る

JCBインターナショナル（アジア）リミテッド
董事総経理
市野智也氏

JCBは日本発唯一の国際クレジットカードブランドとして1961年に設立。日本人には馴染み深いクレジットカードブランドだ。そして、日本クレジットカード業界の牽引役として時代をリードしてきた同社は、世界に約30の拠点を有し、グローバルに展開している。今回は香港ブランチの董事総経理、市野氏にお話を伺った。

Q：貴社の業務内容を教えてください。
A：1981年に日本発唯一の国際カードブランドとして、海外1号店目をここ香港で出店しました。以来、世界中の大手金融機関だけでなく、ローカル決済ネットワークや他の国際決済ブランドとの提携により、さまざまな分野で安心して利用できる加盟店網の構築や、個々のお客様へのカード発行を推進しています。
現在、JCBカードはアジア地域を中心に、世界に1億4,000万人以上の会員様に利用いただいています。日本から海外へ渡航されるJCBカード会員の方はもちろん、現地のJCBカード会員の方が日常生活で利用可能な環境をより一層整備していくとともに、地域の特性やパートナーのニーズに柔軟に対応した高品質なサービスを提供することで、今後も世界でJCBカードの発行を拡大していきます。

Q：カード業界にとって香港マーケットはどのような位置付けですか？
A：人口750万人に対してクレジットカード発行枚数は約2,000万枚と、非常に成熟した市場であります。一人で複数枚のカードを保有し、決済シーンごとの利得性によってそれらを使い分けることが当たり前となっているため、差別化が非常に重要です。また生活のいたるところでクレジットカード以外にもOctopusやQRコード決済が利用可能であるため、自社ブランドのプレゼンス向上は容易ではありません。

Q：コロナ禍は事業にどのような影響を及ぼしましたか？
A：アジアを中心としたJCBカード会員様にとって、香港は重要な渡航先であるため、渡航制限は旅行者やカード利用者の激減につながり大きな痛手となりました。そのような中でも、弊社にとっての香港での戦略は依然としてJCB加盟店網の維持拡大です。そのためにJCB取引を絶え間なく創出することを最優先事項として、この1年は日系コンテンツに絡めたプロモーションに注力しています。
例えば、日系の提携レストランでJCBカード決済をしていただくと20％の割引や、ドン・キホーテやマツモトキヨシでは3％オフのご優待サービスを行なっています。また、JCBが協賛した「クリィミーマミ40周年前夜祭POP-UPストア」では、会場に入りきらないほどの香港人のお客様にJCBブランドを知っていただくいい機会となりました。なんでも、クリィミーマミは現在40～50歳代の香港の方々が幼少期にテレビで知り育った、人気のアニメキャラクターなのです。同イベントはフェイスブック上でも、前述のファン層をメインに反響が大きく、社内でも手応えを感じたイベントでした。このように日系企業である強みを活かしたプロモーションが功を奏し、私が着任した1年前より、ゆっくりではあるものの着実に会員数が増えています。 ë-û+ôXëµæ£çA

Q：今後の展望をお聞かせください。
A：今現在Kowloon Motor BusとLong Win BusではすでにJCBのタッチ決済（JCBコンタクトレス）が利用可能ですが、今後も交通機関を含めた日常生活における利便性の強化に努めてまいります。
また、海外渡航再開を受けて、日本からの旅行者だけではなく、香港から日本への旅行者向けに、キラーコンテンツとなりうる日本特化型のJCB優待の開発をできるように邁進していきます。その他、加盟店網の拡大、より安心してご利用いただけるサービスなどもさらにブラッシュアップしていく所存です。

香港では1981年に出店。VISA、Master Card、Amexなど世界6大カードブランドのうちの一社として、日本をはじめアジアを中心に会員数を獲得してきた。日本では東京ディズニーリゾートやユニバーサルジャパンなどとの協賛活動や、さまざまなペイシステム、マイルやポイント運営会社と提携するなど、幅広く展開している。また、世界各地の人気観光地にあるJCBプラザラウンジでは、JCB加盟店の予約や観光に関する問い合わせを日本語（英語・広東語）で対応してくれる。ぜひ訪れてみよう。（下記写真は香港のJCBプラザラウンジ）スクリーンショット (2287) スクリーンショット (2288) スクリーンショット (2286)