PPWビジネス通信 × アナシス Vol.43

2021/07/21

M1

人事労務のアナシスによる誌上相談会

 

 人事労務のアナシスによる誌上相談会「1on1ミーティングって、どうやるのですか?」

 

 

問い:1on1ミーティングがマネジメントに有効だと聞きました。改めてやろうとしてもどうやっていいか分かりません。

黒崎:1on1ミーティングは、より業績を向上させるため、上司と部下の関係性を強化する手法の一つであり、評価・目標面談などとも違うものです。

 1on1とは、「上司と部下の間で、毎週あるいは月2度ぐらい、30分から1時間程度、定期的に行う1対1の対話」のことです。シリコンバレーでは一般的となりグーグルやヤフーでも導入、日本でも随分取り上げられてきています。

 さて、いわゆる「面談」とは何が違うのかといえば、目的と頻度が大きく違っています。面談とは主に評価面談等でしょうし、多くても四半期に一度、通常なら年に1,2回ではないでしょうか。1on1なら推奨はせめて月2回です。さらに目的と話すテーマが大部違ってきます

 1on1の主なテーマは「中長期的な、非緊急かつ重要な話」です。例えば、

1)キャリア形成
2)業務における内省・経験学習
3)日常では相談しづらい仕事の悩み
4)同僚・他部署との人間関係
5)経営理念・戦略
6)その他プライベート等
となります。その目的は「中長期的な部下育成・職場の心理的安全性の確保・経験学習支援・部下との人間関係構築」です。この最後の人間関係構築を、最近はエンゲージメントと呼ぶことがあります。私の言葉で訳すと「絆」「愛着」であり「心の契約」です。1on1の最大の効果はエンゲージメントを高めるものとされています。これが高まると、「意欲とスキルの向上・ビジネススピード向上・理念や戦略への方向付け・問題の早期発見と対応・離職防止」に有効とされています。なんだか良いことずくめで、香港・華南においては是非取り組むべきことなのではないでしょうか。うまくできれば。しかし現場では「時間がない」「何を話していいか分からない」という理由で、それほど多くの企業では導入されていないようです。

 私は多くの会社で上司と部下の接触回数と評価の高さが比例していると見ています。一緒にいる時間の多い部下の評価は高く、余り接触しない部下の評価は低くなるか、あまり評価できないために中心化傾向となります。多忙を理由にすると評価にも悪影響がでるのです。心理学ではザイオンス効果と呼ばれ、接触回数が増えるほど、好感度は高くなります。ですので上司の役割はまずできる限り均等に部下と接触し、その頻度を増やすことです。コミュニケーションは長さよりも回数です。そしてその頻度に加えて、この1on1が有効だと思うわけです。本当は日常の対話を増やせれば良いのだと思いますが、日常ではそんなに簡単に中長期の話しには触れられないでしょう。それゆえ1on1というやや非日常を作り出すわけです。

 これまでセミナー等で1on1を推奨してきたのですが、幾つかの注意点があります。いきなり始めると、「クビですか」と訝られるケースがありました。「面談」は何か悪いときにやるものという思い込みが部下側にある場合があります。例えばセミナーを受けた後などに「シリコンバレーでもグーグルでもやっているらしいから始めることにした」などと、形から入ることを厭わないことです。全社で公式に導入するのは、まず幹部層へ導入した後などがいいでしょう。

 そしてやり始めると直面するのは上司側の対話力の課題です。1on1なのにいつものように「結論から言え」などと始めては、部下はものが言えなくなります。目的は「絆」を作って、中長期的な目標を達成することと部下の成長を支援すること。まず上司からOpenになることが必要です。30分のミーティングにも基本的なシナリオは必要です。たとえば、こうです。

【チェックイン(導入)】5分
1.アイスブレイク  3.前回のミーティングのレビュー
2.いい話のシェア  4.当日のテーマ決め
【対話】20分
・積極的傾聴を実行する
【チェックアウト】5分
1.次のアクションプランの確認
2.上司の協力・支援の宣言(出来ることならば)
3.当日のレビュー

 全体を通して上司は部下の存在を「承認」することが求められるでしょう。このうち傾聴の技術・質問のスキルなどは上司が磨かねばならないものです。弊社の講座・研修などをご活用ください。


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