PPWビジネス通信 × アナシス Vol.39

2021/03/24

M1

人事労務のアナシスによる誌上相談会

 

 「在宅勤務があったこの1年の評価はどうすればいいのでしょうか」


問い:新型コロナ対応で明け暮れた1年が終わり、評価をする時期が来ています。どんな考え方、準備が必要でしょうか。

黒崎:結論から言えば、人事評価は本質的には何も変わっていません。4月から3月の評価期間の場合、ここまで長期化するとは考えられなかったかも知れませんが、既に新型コロナ対応を含めた計画だったはずでもあります。

 ほとんどの企業は新型コロナ対応であっても評価は従来の制度のまま、目標設定などを修正して取り組んできたようです。評価制度というものは組織課題を解決するためにあるものなので、コロナ対応を含めて新しい戦略で組織に問題が起こったのなら再構築が必要ですが、これまで通りのビジネスを遂行するということであれば同じ制度でも原則問題はありません。ましてや評価をする直前でのルール変更などはやってはいけません。

 それでも出てくるご質問とは、「在宅勤務で会えていないので行動評価がつけられない」「当初の目標に対して結果が大きくずれたが救済は必要か」「期中目標を変更した場合の評価は」「従業員は頑張っているのだが昇給はできない時の評価は」等々です。

(1)在宅勤務でも行動評価はつけられる

 この誌上相談会Vol.27では、在宅勤務でのマネジメントでのポイントとして、以下を取り上げました。

1.短期間の成果目標を明確に設定する
2.業務開始をはっきり分かってもらうための朝ミーティングを実施する
3.アウトプットしていないと上司にも仲間にも認められにくい事や在宅勤務のコツなどを教育する
4.上司のオンラインミーティングの運営力をあげる
5.Slackなどのビジネスチャットを活用する ほか

 これだけやっていれば、日々の報連相はオンラインでもできていたはずで、行動評価は可能です。会えていなければ評価できないというのは、毎日会っていても評価できないマネジャーの言い訳にすぎません。

(2)期中で変更した目標は、新目標で評価する

 当初の目標・予算で最終評価をしないと、評価結果による賞与・昇給等を決められないというケースがあります。それは評価とその結果による昇給などを完全一致させようとするから起こる問題です。評価そのものと結果の昇給等は切り分けてください。その結果に対し、会社の業績が加味されて最終の昇給等が決まるわけで、「絶対評価の絶対配分」がなされるわけではないのです。途中で変更した新しい目標とそのプロセスと結果(=成果)を見てあげないと、次に設定する目標への達成意欲は下がっていくでしょう。

(3)救済措置や賃金凍結があっても、まずは論理的に評価する

 例え賃金を凍結するとしても、評価は評価で実施しなければなりません。また外部環境要因によって業績が上がらなかった場合でも、それは全従業員にほぼ同じ条件下でのものだったのではないでしょうか。個別性を取り上げればきりが無くなります。ここはぶれない論理を作り上げなければなりません。そして厳しい環境の中での努力は行動評価に反映させることになります。

 ただし経営が環境に適応しようとして戦略・戦術を変更した時に、柔軟に対応してその方向性をよくフォローしてきた人は、それなりに高い評価をすることになるでしょう。そうしたことが目標ないしは行動評価項目に入っていればなおいいのですが、現在と未来へ貢献できるこうした人材を正しく評価しないと、この後も続くかも知れない環境変化に対応できなくなります。そして昨年4月以降はコロナ対応下での目標設定なので、マネジャーも言い訳はできないはずです。

 最後に、この時期の評価への準備をまとめておきます。

1.自社の評価制度の再確認
2.昇給原資・基本となる昇給%の確認
.業績データの収集
4.評価期間内のコミュニケーション等の記録・事実の収集
5.過去評価データの確認
6.「逆算評価をしない」などの評価エラー対策の再確認

 この期間に異動してこられた方は、前任者からきちんと情報をもらってください。そして今からでも遅くはないので、部下達とのコミュニケーションを増やしてください。来期目標を検討するところから、部下と組織の将来を話し合っておくことも、後々フィードバックする際に有効となることでしょう。

 


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アナシス Anaxis

 


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