尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.36

2021/01/13

「外商投資安全審査弁法」の施行

 

 中国国家発展改革委員会と商務部は2020年12月19日、外資が中国本土で中国の国家安全に影響を及ぼす企業買収などの投資を行う際の安全審査に関する「外商投資安全審査弁法」を公布した。同弁法は「外商投資法(2020年1月施行)」と「国家安全法(2015年7月施行)」を根拠として国家安全に影響を及ぼす或いはその可能性がある外商投資に安全審査を行う制度となり、2021年1月18日から正式に施行される。

 安全審査制度は、「外商投資法」に基づく外商投資監督管理制度の重要な構成部分であり、アメリカ、EU、日本及びオーストラリアなどの国と地域において外商投資安全審査に関する法律を制定し、又はその審査範囲をさらに拡大している国際情勢の中で、発展改革委員会と商務部が2011年以降外商投資安全審査を実施した経験を踏まえて制定されたものである。

 同弁法は全23条で構成されており、審査を適用する外国投資のタイプ(類型)や審査機関、審査範囲、審査手続、審査決定の監督執行と違反行為の処理などを規定しており、審査業務の規範性や正確性、透明度をさらに高め、外商投資活動に対する影響をできる限り減らし、外国投資家の投資意欲や合法的権益を保護するとした。

 同弁法によると、国家は「安全審査工作机制弁公室(審査機関)」を設立し、審査機関に安全審査業務の組織、協調、指導責任を負わせる。審査機関は発展改革委員会に設置され、発展改革委員会と商務部が主導し、共同で日常の安全審査業務を担当する。審査機関は、当事者による申告を受理することができ、関連取引が安全審査の範囲に属されると判断した際は当事者に申告するよう要求することもできる。

 審査機関は、取引が安全審査の範囲内に属されるかどうかを15営業日内に決定し、その審査範囲に属される場合30営業日内に一般審査手続きを行う。特別審査手続の所要期間は60営業日であり、さらにこれを延長することができる。なお、安全審査の結果は、「安全審査通過」、「投資禁止」と「条件付審査通過」に分けられる。

 同弁法に施行に伴い、軍事関連や、国家安全に関係する投資については、事前に中国当局に届け出て審査を受けることが求められる。軍事関連や国家の安全に関わる情報技術、資源などへの投資については事前の届け出と審査が必要であり、審査結果によっては投資ができなくなる。「中国の安全を巡る新情勢に基づき」制定・施行された同弁法は、米政府が中国企業に対する圧力を強めていることを踏まえ、中国政府として対抗措置を整える狙いがあるとみられている。

 外国投資者は関連取引を実行する前に、当該取引について全面的な安全審査評価作業を行い、安全審査申告に備えておく視点が必要と思われる

 


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尹秀鍾 Yin Xiuzhong尹秀鍾 Yin Xiuzhong
卓建律師事務所深圳本部 パートナー弁護士、法学博士 (慶応義塾大学)

【主な業務領域】
外商投資、移転/撤退、知財侵害

 

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