総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム

2019/10/23

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今季は早い!インフルエンザ流行

hori prof秋本番を迎えた香港。虫の音も一段と大きくなってきました。欧米人にとっては「雑音」にしか聞こえないという虫の鳴き声も、日本人には秋の風情と感じます。そればかりか虫の音を聞き分けて、その種類までわかってしまう日本人の感性は民族的にもかなり特別なのかもしれませんね。これから秋がますます深まります。香港に限らず、中国南部では乾燥した爽やかな天気が多くなり、まさにベストシーズンと呼ぶにふさわしい季節を迎えます。しかし、この季節が快適であるのはヒトばかりではありません。インフルエンザウイルスにとっては、乾燥した環境がその勢力拡大には好都合なのです。空気の乾燥に加え、朝晩少し冷えるようになると急に流行が始まるインフルエンザですが、さらに日中の気温が下がり、誰もが冬の訪れを感じる頃になると、まさに暴れるがごとく一気にピークに達します。今年は日本での流行がとても早く始まっているだけに注意が必要です。

 

日本の流行状況

例年だと10月終わりから11月初めころに流行が始まり、本格化するまでにおよそ1か月くらいかかっています。ところが今年は9月初めに患者数が増え始め、下旬には警報レベルに達してしまった沖縄を中心に、九州各県では注意報レベルの流行状況となっていました。例年より2か月ほど早いペースで流行が拡大しています。ちなみに流行のレベルは、全国5000の医療機関から寄せられる新規患者数の平均を指標としており、1.0人以上で流行期に入ったこととされ、10.0~29.9人で注意報、さらに30.0人以上で警報が発令されます。

 

香港の流行は?

あくまでも私見ではありますが、例年日本の流行からおよそ1か月経った頃に香港でも患者数が急増するようです。しかし、最近は日本への旅行者が増加していることから、その移動に伴ってウイルスを運ぶ機会が増しており、流行期が日本と変わらなくなっているようにも感じます。つまり今年の日本での流行開始時期が大幅に早まっていることを受け、今季は香港でのインフルエンザ対策を急がなければいけないことになります。
ところで、インフルエンザウイルスは乾燥に強いことと、冬の低温で人々の免疫力が低下することが相まって爆発的に流行すると言われてきました。しかしこの理屈では香港での流行の説明ができません。乾燥と低温が重なる12月に流行が開始することに関しては日本での流行理由と合致します。ところがその後多湿の季節を迎えて流行が収まるかと思いきや、反対に患者数は例年増え続けます。この現象について日本の感染症の権威に質問したことがありますが、明確な回答を得ることができませんでした。最近まで熱帯地方でのインフルエンザ流行を説明することもできませんでした。多湿に強い株が熱帯地方で流行しているとの説もありましたが、最近の知見では、湿度が100%に近い環境にある場合には反対にウイルスが活性化することがわかり、この説を香港にあてはめると、毎年春節を過ぎた頃からの高湿度環境下であっても患者数がピークアウトしないことの説明が成り立ちます。

 

インフルエンザ予防接種

予防接種が予防に最も効果的であることは、専門家のあいだではほぼ一致した見解です。もちろん効果に関して異論があったり、あるいはアレルギーの問題を取り上げて反対する人も一定数あることも確かです。接種に関しては当然のことながら個人の判断になります。ワクチンは現在A型、B型共に2種類、合計4種類のウイルスに対応できるように調整されています。これらのワクチンの成分に関しては、南半球での流行株を見たうえで、毎年6月くらいにWHO(世界保健機関)において決定され、各国政府機関に通達されるものです。しかしウイルスは常に変化しているため、残念ながら実際に流行するウイルス株と異なることもあります。それでも予防接種を受けておくと、ウイルス株が少しくらい違っても症状が軽減されるなど、それなりの効果が期待できるとのことです。また、流行期間中にインフルエンザに感染することで、ワクチンのブースター効果も期待できるといわれています。

 

インフルエンザ予防

予防接種以外にインフルエンザへの対処法はあるのでしょうか。基本的には免疫力を落とさないようにすることなので、しっかりと食べて(カロリーではなく栄養摂取)、そして十分に寝ること(休息)です。身体を冷やすことなく、温めることも大切です。また人から人へ感染拡大するので、できる限り人込みを避けることも必要です。さらに外出から戻ったらすぐに手洗いすることを習慣にすることは、インフルエンザに限らず様々な感染症の予防にもとても大きな効果が期待できます。うがいやマスクが有効だと思われていますが、国際的にうがいが感染予防になるという科学的なエビデンスはありません。また、マスクは感染者が感染拡大を防ぐことには有効性が高いものの、感染予防のためにその効果を過信することはできません。


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