総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:糖質制限ダイエットにモノもうす

2019/03/20
メディポート代表:堀 眞

メディポート代表:堀 眞

最近、糖質制限ダイエットを実行している人がとても多いようです。あまりにも多いので老いも若きも誰もが糖質制限しているような印象さえ持ってしまいます。ネットではもちろん、テレビでも盛んに取り上げられ、医師だけではなく有名人などがこぞって推奨する姿を見せられていると、いかにも素晴らしいダイエット法ではないかと思い込んでしまうのも無理はありません。このブームの広がりはすさまじく、すし屋でシャリを残している客がいたと聞いた時には、ただただあきれるばかりでしたが、このままでは日本の食文化にまで悪い影響を与えてしまいます。

 

繰り返された減量ブーム

いくらブームが大きくなろうと、私は単純な糖質制限ダイエットには猛烈に反対したい気持ちでいっぱいなのです。医師でも有名人でもない、ただのオッサンがいくら声を大にして叫んだところで、ほとんど耳に入れてもらえないもどかしさはありますが、糖質を完全に抜くことは「直ちに」止めたほうが良いと叫びたい気持ちです。

実は、糖質制限ダイエットは150年ほど前から流行り廃りを繰り返してきたものであり、その効果のエビデンスとなる結果が出された研究法にも問題があると新潟大学名誉教授の岡田正彦氏は述べています。比較的最近では2000年代初めに米国で大流行したアトキンスダイエットがあります。このブームは、2003年、当のアトキンス氏が死亡したことがきっかけとなり、あっという間にしぼんでしまいました。

 

 

危険性を認識しましょう

糖質を著しく制限さえすれば、肉類や脂質はいくらでも食べても良いように理解されている糖質制限は、その危険性が多くの専門家によっても指摘されています。ある例ですが、糖質摂取を可能な限り制限したかわりに、好きな肉類を多食したことで、著しい脂質異常症を引き起こし、さらに脳梗塞で一時半身麻痺を起こしてしまったとのこと。極端な糖質制限をすることで寿命を縮めているという論文報告もあります。

 

 

コメの消費量と反比例の糖尿病推定有病率

1960年ころ、日本人ひとり当たりのコメの消費は現在の2倍以上でした。それにもかかわらず、その当時の糖尿病の推定有病率はきわめて低かったものです。なぜその後の有病率が激増してしまったのでしょうか?糖尿病患者が増えているのは摂取カロリーが増えていたのかと思いきや、実は摂取カロリーは1970年代に入る少し前頃をピークにして減少傾向にあります。それにもかかわらず最近の調査では糖尿病を強く疑われる人の割合は男性で16%以上、女性でも9%にも達しています。

 

 

主食って何?

低糖質ダイエットで徹底的に避けられているのが穀物です。米の栽培は1万8000年前ころに始まっています。人口が増えて狩猟採集だけではエネルギーを賄えなくなってきたために栽培を始めたわけです。麦栽培も古くから行われ、パンや麺類に加工されて人類の食生活を支えていることも同じです。こういった穀物を栽培できない環境下で生活しなければいけない人々は食を動物に頼るしかなく、肉が主食となったわけです。

 

 

肉食人のダイエット?

肉を主食としていた人々が移動してアメリカやオーストラリアで生活をはじめ、そこで穀物の摂取量が激増してしまったのです。つまり肉類で満たされていたエネルギー摂取に加えて、穀類、つまり過剰な糖質摂取に至ってしまったと考えると分かり易いのではないでしょうか。実際、低糖質ダイエットはアメリカが中心となって流行を繰り返しています。

 

 

民族の食文化を考えてダイエットするべき

戦後70年間で大きく変わってしまった日本人の食生活は、とても豊かなものになりました。日常生活もとても便利になりました。このこと自体は好ましいことで、特に否定することではありません。しかし、肉食あるいはその類似食文化が日本人の食生活に新たに加わったことで、現在の生活スタイルで必要となるエネルギー量を、摂取カロリーが上回る結果になっています。だからといって日本人の基本的な主食であるご飯を一切食べないことで摂取カロリーを抑え、エネルギー収支の帳尻を合わせようとする考え方は、合理的思考であるとはとても思えません。今こそ立ち止まって、好ましい食生活について誰もが考えなければいけない時期にあるのではないでしょうか。

 

 

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