総合健康診断サービス「メディポート」医療情報:走ることより歩くこと!

2017/09/26

朝晩、少し涼しさを感じる季節になりました。うだるような暑さから解放され、カラっと晴れた青空の下、そろそろ運動でも始めようかと思っている人も多いのではないでしょうか。

ところで昨今のマラソンブームの盛り上がりには本当に驚いてしまいます。毎年マラソン人口は増え続け、街を走っている人の姿もいつの間にか日常の風景になっています。世界中のマラソン大会はその数も、そして大会規模もこのところ拡大を続け、多くの国や都市で開催される主要なスポーツイベントに加えられるようになりました。マラソン人口が増えれば、その人々が支えるイベントも大きくなることは当然のことです。そんな中、走ることを本当に楽しんでいる人もあれば、健康のため、ダイエットのためと理由をつけて自身に鞭打つかのように必死になっている人も少なくはないようです。「走ること」をどのように自分の生活に組み込むのかは人それぞれでしょうが、どうせ走るのであれば楽しく走りたいものです。

メディポート代表:堀 真メディポート代表:堀 真

さて、走ることが健康にとってプラスになると信じて頑張っている人達に水を差すつもりはありませんが、私は、走ることが必ずしも健康のために役立つ運動ではないと思っています。健康のためであれば、会話できるくらいのゆっくりとしたペースで走って無理のない距離にとどめるべきであり、決して苦痛を重ねて我慢して走るべきではありません。もちろん少しでも長い距離を、より短い時間で走ることが楽しくて仕方がない人たちもいますから、そのような人に「やめなさい」とは言いません。走ることの身体への影響は個人差が大きいものであり、どの程度であれば好ましい運動量であるかという線引きも困難だからです。人間は快楽を求める動物であり、その快楽が健康とかけ離れたものであってもやめることができないことも確かです。

野生動物の世界を見てみましょう。全力で走るということはすべての動物に共通した危険回避の行動であり、また肉食動物にとっては捕食行動でもあります。いつも軽快に走り回っているというイメージがある馬でさえめったに走ることはなくゆったりと草を食んでいるのが日常です。彼らにとって走るという行為は、ある意味「生存を脅かしてしまう行為」として無意識のうちに回避しているのかもしれません。野生動物は生きるために一日中餌を探し回る必要があり、「身体機能を維持するための運動量」はこれで満たされているのです。「強いて身体を動かす」という運動を行う意味はありません。彼らの世界に、仮に「言葉」があっても、そこには「運動」という単語は存在しないことでしょう。

一方、ヒトの場合はどうでしょうか。著しく進化した人類はより便利な社会を作り上げ、食料事情も良すぎるほどにまで改善されてきています。その結果、現代では摂取カロリーが消費カロリーを上回ってしまうことから、先進国はもちろんのこと途上国でさえも「肥満」が大きな社会問題となっています。そこで減量のために運動をしようと考えるわけですが、少しくらい走ったところで、痩せるほどのエネルギー消費には遠く及びません。痩せるためにはまず摂取カロリーの制限をするべきであり、そのうえで「歩く」ことが健康上とても好ましいことになります。

歩くことは動物にとっての基本動作です。歩くことができなくなることは、野生の世界では死を意味することでもあります。ヒトはたとえ歩けなくなったとしても、不自由ではありますがなんとか生きていくことは可能です。我々は生存のために積極的に歩く必要はありませんが、現代人にとって歩くことのメリットは決して小さなものではありません。「生活上の運動量」が少なくなってしまった現代人は、意識的に歩かないと足腰が確実に衰えます。若い時は問題にはなりませんが、将来歩けなくなって寝たきりになるリスクが大きくなることは避けられません。歩いて足腰に負荷をかけることで、骨粗鬆症の予防にもなります。いくらカルシウムを摂取したところで、骨に刺激を加えないことには骨は丈夫になりません。100歳人口が急増している現代社会で、最期まで元気に過ごすことを目指すのが健康維持の最大の目標であり、その基本が毎日歩くことにほかなりません。「二本の足」で歩くことができる動物はヒトしかいません。ほとんどの動物にとって二足歩行は“超”特殊技能であり、その意味からも歩かないことはとてももったいないことであると考えるべきでしょう。

間もなく10月に入ります。日差しはまだ少し強いものの、吹く風、空の雲はすっかり秋を迎えています。これからの季節、日ごろの運動不足を補うために身体を動かし始めるのにはとても良いタイミングです。とにかく歩きましょう!日常の行動と思えば靴も服も変える必要はありません。通勤時を利用するのであればビジネスシューズでもかまわないのです。今すぐ始められる最も手軽な運動が「歩くこと」。できれば少し早歩きしてみるのも良いですね。背筋を伸ばし、少し大股に、そしてできれば腕振りも加えると、立派な「ウォーキング」になります。さあ、今からです。

メディポート

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