総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:花粉症のお話

2016/03/21

メディポート暖冬が一変、今年に入って記録的な寒波に見舞われた日本。いや、日本だけではなく東アジア一帯は例年の冬よりも大幅に気温が下がるとても寒い冬となりました。香港でも霰が観測されるなど、異常気象ともいえるほどの寒さに見舞われました。3月に入り、やっとそんな寒さから開放されたと思った途端、日本では花粉症が猛威を振るうこととなりましたが、例年のこととはいえ花粉症の方にとってはうんざりする季節ではないでしょうか? 杉の花はまだ寒い時期から咲き始め、一気に開花が増える3月に入ってから本格的に花粉を飛散させます。この季節は地域によって大きく変わりますが今年も4月いっぱいまでは、多くの人にとって辛い毎日が続きそうです。

さて、この花粉症ですが、海外に出るとウソのように症状が止まってしまうという話は珍しくはありません。海外旅行に向かう飛行機に乗った途端に症状が収まり、帰国して機外に出た直後にもう鼻がムズムズし始めたという話もあるほどです。実際に香港に住んでいる日本人の花粉症患者でも、自分のアレルギーを忘れてしまって快適に過ごしている人がほとんどのようであり、たとえ一時帰国であったとしても春には絶対に日本へは帰らないと宣言している人も少なくはないようです。日本人の4人にひとりが花粉症だとされ、もはや国民病ともいえるアレルギー疾患ですが、その多くはスギ花粉症です。これほどまでにスギ花粉症が多い国は日本以外にはありませんが、もちろん海外に花粉症が存在しないというわけではありません。

なぜ日本人にスギ花粉症が増えてしまったのでしょうか。アレルギーはアレルゲンという原因物質に対して産生された抗体が原因となって発症するので、この場合はスギ花粉がアレルゲンとして作用しているわけです。しかし、いくらアレルギーのもとになるからといっても、一度でも花粉を吸い込んでしまったら発症してしまうということはなく、個人差は大きいものの長い期間暴露され続けることによって抗体価が高くなって発症してしまうわけです。もちろん同じ環境で生活していても、発症する人もいれば、アレルギーには無縁の人も少なくないわけであり、やはりここには基本となる体質が大きく関わっているものと思われます。戦後の日本はその復興のために山を切り開きスギを大々的に植林し、それまで多様な植生に恵まれていた山をスギの単独樹林に変えてしまいました。昔もスギ花粉は飛んでいたわけですが、現在に比べると格段に少なかったことは確かです。しかも高度成長期が過ぎると林業が衰退し、森林の管理が疎かになってしまったことが、スギ花粉が多くなってしまったことの原因になっているのです。日本人にスギ花粉症が多いのはこのような背景があるためで、毎年春を迎えると大量に飛び交うスギ花粉にさらされているうちに、ある時、突然発症してしまうことになります。花粉症とは無縁だと思っていた人でも、安心していても良いという保証はどこにもありません。成人期以降に突然発症することも決して少なくはないからです。

このところ様々なアレルギーを訴える人が増えているのではないかと感じます。花粉症はもちろんのこと、居住環境が原因になっているアレルギーも少なくはありません。建材や家具から発生する化学薬品、あるいはカビやダニなどもアレルギーの原因になります。食品アレルギー患者も目立つようになってきたのは、現代社会の特徴なのかもしれません。原因がわからず何らかの異変を感じたら、アレルギーの可能性を疑っても良いのかもしれません。誰もが一度はアレルギーの検査しておくと良いのではないでしょうか。

ある職場に全身の右半分だけにアレルギー症状が出てしまう女性がいたそうです。さんざん原因を調べてわかったことは、いつも右隣に座っているとっても嫌な上司が原因だったとか。精神的な要因が大きかったのでしょうね。これは一般的なアレルギーの定義とは違いますが、「アレルギー」と一言でいっても何とも複雑、不思議なものがあるものですね。

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