生薬「真珠」の秘密 周漢方医のアドバイス

2015/08/12

スキンケアアイテムやエステといった美容業界は医学の分野とも深くかかわるようになった。いわゆる「美容医学」と呼ばれるものは普通西洋医学の理論を基礎として対症的治療に重きを置いている。しかし、漢方による美容法にはまだまだ学ぶべき点がたくさんある。漢方医は1万種を超える薬草から漢方薬を処方するが、実は薬草以外の生薬も使われる。例えば、動物や鉱物などで、これらの中には美容効果に優れているものもある。中でも、動物類に分類される「真珠」は美容効果に優れていることでよく知られている。

生薬「真珠」の秘密漢方における「真珠」
真珠は、軟体動物のウグイスガイ科アコヤガイ(Pinctada martensii Dunker、馬氏珍珠貝)、イシガイ科のヒレイケチョウガイ(Hyriopsis cumingii、三角帆蚌)やカラスガイ(Cristaria plicata、褶紋冠蚌)からとられる。これらの貝では、何らかの小さな砂粒や異物(プランクトンや寄生虫など)が母貝の中へ侵入すると、それが刺激となり、異物を包みこむように真珠層が取り巻く。こうしてできた真珠は、漢方では体の熱を冷ます性質(性寒)に属するとされ、味覚としては「甘味」と「塩味」に分類される。効能は、鎮心安神(不安、動悸、不眠などの不安神経症を鎮める)、養陰熄風(熱を冷まし潤す、めまいやふるえや痙攣などの状態を改善する)、清熱墜痰(体の内部の熱を冷まし、痰を落とす)、去翳明目(資力を高める)、解毒生肌(解毒して傷跡の再生を促進する)など。また、驚悸(驚き、恐れ、不安、情緒変動、疲労がきっかけで生じる一時的な軽度の動悸)や怔忡(外因が明らかでなく持続する動悸や体を動かしていると強まる重度の動悸)、癲癇、驚風搐搦(小児のひきつけ)の治療に効果がある。

「真珠」によるスキンケア
スキンケアの分野において、真珠は昔から広く使われてきた。特に真珠パウダーは、古代の宮中女性の時代から美容アイテムとして珍重されてきた。宮中の秘伝美肌処方薬のほとんどに真珠パウダーが配合されている。これまでの長い使用結果を通して、真珠にはシワ防止、保湿、美白などの美容効果があることが実証されている。では、小さな真珠の内側に秘められた不思議な力に注目してみよう。

【シワ防止効果】真珠に含まれる天然活性成分は、SOD 酵素(Superoxide dismutase、活性酸素を分解する酵素)の働きを大いに高めてくれ、皮膚細胞中の過酸化脂質を取り除くのを助ける。ニキビ跡やシワに効果があるだけではなく、老化を遅らせ、肌年齢を若返らせる効果もある。

【保湿効果】人体に必要なタンパク質を形作る20種類のアミノ酸の内、真珠に含まれるのは18種類。アミノ酸は皮膚組織に無くてはならない成分で、特に表皮保湿因子を構成する要素の一つ。肌の潤いとキメを整えるのに効果がある。

【美白効果】天然の微量成分を大量に含む真珠は、メラニン合成にかかわるチロシナーゼの働きを抑え、フリーラジカルを抑制する。色素沈着やシミを改善し、透き通った明るい肌を作り出す。

漢方医 周先生周正峰教授
香港大学専業進修学院中医学系卒業、北京中医薬大学学士号と米国経営管理修士号を有する。現在は香港中医薬管理委員会登録漢方医、香港中医研究院教授、香港気功協会会長を務める。

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