美容効果のある薬草 周漢方医のアドバイス

2015/07/28

天然成分より化学成分のほうが即効性があり、より効果がある――多くの人がそう思い込んでいる。でも事実は決してそうではない。漢方を例に考えてみよう。漢方医は患者を治療する際、天然の薬草由来の漢方薬を用いる。天然由来ではあっても、治療に効果を発揮し、病気を治すにとどまらず体質の改善も図れる。つまり、天然成分の効果は決して過小評価できない。
実際、多くの漢方薬は美容効果に非常に適しており、スキンケア効果は最新の研究によって開発された化学成分にも遜色のない効果をもたらす。たくさんある生薬の中から厳選した四つを手短にご紹介しよう。

 

ユキノシタ(虎耳草)ユキノシタ(虎耳草)
体の熱を冷ます性質(性涼)を持ち、祛風、解熱、涼血、解毒効果がある。過酷な環境下で成長するユキノシタは、強い生命力と環境適応能力を持っており、特に美白効果が注目されている。ユキノシタに含まれる天然アルブチンは、活性酸素やチロシナーゼなどメラニン合成にかかわる酸化還元酵素を抑制、肌をいつも白く保ち、活性酸素が肌に与えるダメージを軽減させる働きがある。

 

 

クコ(枸杞)クコ(枸杞)
心を穏やかにする性質(性平)を持ち、甘い。肝臓・腎臓の養生、滋養強壮、肺を強くする効果がある。クコそのものには、豊富な多糖成分やβカロチン、ビタミンE、セレンやフラボノイドなどの抗酸化物質が含まれる。そのため、活性酸素が肌に与えるダメージを抑え、肌の老化を遅らせる効果がある。ほかにも保湿・収斂作用のある天然美容成分が含まれているので、肌の水分をキープしみずみずしい状態を保たせてくれる。

 

アンズ(杏子)アンズ(杏子)
体を内側から温める性質(性温)を持ち、酸味がある。肺や呼吸器に効果がある。アンズそのものに含まれるリンゴ酸とクエン酸といったフルーツ酸には、天然の保湿剤としての効果があり、肌細胞に潤いを与え、より柔らかい肌、光沢のある肌を作る。フルーツ酸には同時に肌の古い角質を取り除く働きもあり、角質の蓄積による黒ずみなどを解消してくれる。

 

ローズヒップ(薔薇果)

 

ローズヒップ(薔薇果)
甘酸っぱい。消化器系の機能を健全な状態にし、気を滞りなく滑らかに流通させる効果、血を増やし月経を整える効果がある。ローズヒップは大量の必須脂肪酸を含んでいるので、肌にやさしい理想的な天然保湿剤ともなる。乾燥肌の改善にも効果があり、肌を潤すと同時に、肌のバリア機能を回復させ、水分をキープする。若々しく健康な肌を保つ効果が期待できる。

ここに取り上げた四つの薬草(生薬)は、漢方で処方される多くの生薬について知る手がかりとなる。薬草にはそれぞれ異なる性質や治療効果があるだけでなく、優れたスキンケアの効能もある。漢方生薬の内にある先人の知恵は、現代科学の研究結果により、そのすばらしさが知られるようになってきた。本質に立ち返って、天然成分を含む美容品を選び美しい肌を手に入れよう。

 

漢方医周先生

周正峰教授
香港大学専業進修学院中医学系卒業、北京中医薬大学学士号と米国
経営管理修士号を有する。現在は香港中医薬管理委員会登録漢方医、香港中医研究院教授、香港気功協会会長を務める。

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