総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:飲酒について考える

2022/12/21

スクリーンショット (2329)昼間の時間が最も短く、冷え込みも手伝って日暮れ時にはうら寂しくなってしまう時季です。このところ夜の帳が下りるのがとても早くなったのを実感しますが、暗くなってからはクリスマスの飾りつけも手伝って街の灯りがひときわ輝きを増す楽しいシーズンでもあります。お酒を飲みたくなる時間が早くなり、好きな人にとってはついつい飲み過ぎてしまう季節ではないでしょうか。クリスマスから正月は休暇気分の人も多いことでしょう。特に来年の春節は1月なので、2度目のお正月はすぐにやってきます。12月から来年1月にかけて休みが多く、仕事をしていても気分的に開放感に浸れる人が少なくないことでしょう。新型コロナに関しての行動制限が緩和されてきているので一時帰国などの旅行を計画している人も多いようですが、それだけに食べ過ぎや過度の飲酒には気を付けておきたいものです。

日本人の飲酒傾向
仕事柄、お客さんに飲酒に関してお聞きすることが多いのですが、「まったく飲まない」との回答が明らかに増えていると実感します。飲酒習慣がある人でも、飲み潰れてしまうまで飲む人は、最近ではとても少ないのではないでしょうか。個人的な印象ですが、飲酒量が少なくなっていることはもちろん、飲酒習慣がある人の割合は全体的に減っていると思っていたのですが、実際のところはそうでもなさそうです。いくつかの調査がありますが、どの結果も若年者、特に20歳代の飲酒習慣者数は男性で減少傾向が明らかであるものの、反対に女性の飲酒者が増えており、若年飲酒者の男女の割合に大きな差がなくなっているようです。少々古い資料ですが、2016年のある調査によると、飲酒習慣者の割合は男性で50~60歳代、女性で40~50歳代でピークとなっており、バブル経済の頃に弾けていた人がこの世代には多いのではないかと想像してしまいます。最近の傾向として特にアルコールの消費量が減少しているわけではなく、例えばビールの消費が減少する一方で発泡酒やワインの消費が伸びるなど、好まれる酒の種類が変化しているのが実態のようです。

酔いのステップ
酔いの段階は、爽快期、ほろ酔い期、酩酊期、泥酔期に大きく分けられます。基本的に酔うという現象は、アルコールによる「脳の麻痺」であり、その程度によって身体的な影響が異なります。
《爽快期》
緊張がほぐれ、少し気分が良くなり陽気になりますが、判断力が少し落ちます。この段階であれば特に問題は起きません。肌が赤くなり始めるのもこの段階です。
《ほろ酔い期》
酔いが回ってきたことを自覚します。陽気になっておしゃべりになり、心拍数や体温も上昇します。このあたりで飲むのを止めるのが理想です。さらに酒量が増えると声が大きくなったり、同じことを繰り返し話したりして、周囲が迷惑に感じるようになる酩酊期に進みます。
《酩酊期》
言語が不明瞭になったり、平衡感覚が失われ千鳥足になったりします。嘔吐するのもこの時期に多いようです。酩酊期の初期であれば、自分で帰宅することができるものの、翌日になると記憶がないということが多くなります。酩酊期の後期になると泥酔状態となり、所かまわず寝込んでしまうこともあります。さらに酷くなると昏睡状態に陥り死に至ります。

健康への影響
純アルコールに換算して男性で40g以上、女性では20g以上の飲酒は健康リスクが急に大きくなると言われますが、その量に該当するのはそれぞれ飲酒する人の14.9%、9.1%です。ちなみに日本人のアルコール依存症者の割合は、男性の1.9%、女性では0.1%ですが、実は女性の方がアルコール依存に陥りやすく、十分な注意が必要だと言われます。
また飲酒はがんとの関係がはっきりしています。これは体内でアルコールが代謝されて最初に生まれるアセトアルデヒドに発がん性があるためです。特にアルコールの直接的な刺激を受けやすい口唇、口腔、咽頭、喉頭、食道といったその通り道にあたる部分のがんが増えます。さらにその処理を担う肝臓に対しても影響が大きく、当然のことですが肝臓がんの発症が増えることになります。女性では乳がんの罹患率が飲酒者に増えることが知られています。また飲酒に喫煙が加わるとそのリスクが年齢や性差に関わらず大幅に上昇することが明らかになっています。
お酒に強い弱いは、アセトアルデヒド分解酵素(ALDH)の活性差にあり、特にALDH2という血中アルコール濃度が低い時から働く酵素が欠損しているか、あるいはその働きが弱い場合に「お酒に弱い体質」となります。日本人は4割以上がこのタイプであり、その傾向はモンゴロイドに共通しており、反対に欧米人にはこの酵素が欠損している人はほとんどいないそうです。

日本ではコロナ禍の下、飲食店での飲酒が制限されて路上飲みが増えるなど、飲酒のスタイルが変わってきています。規制が緩和されて店内飲酒ができるようになったにもかかわらず路上で飲み、その場でつぶれてしまっている光景が東京の歓楽街では増えているそうです。明らかに好ましい飲み方ではありませんし、はっきり言ってみっともない光景でもあります。
飲むのであれば、カッコよくスマートに飲みたいもの。
酒は飲むもの、飲まるるべからず!酔っても楽しい気分のうちに寝てしまいたいものです。


堀様1藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


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