総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:オーガニック流行りに想うこと

2022/04/20

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オーガニックとか有機などという冠が付いた野菜を見る機会が増えてきましたね。そればかりかその範囲は今や肉類や水産物にまで及んでいます。もちろんオーガニックという本来の意味からすると化粧品などにもその類があることには違和感がなくなってきたのも確かなことです。最近はスーパーなど小売店にも有機野菜のコーナーが設置され、その専門店も珍しくなくなりました。オーガニック(有機)というと何となく身体に良いもののように感じてしまいがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。普通栽培の野菜や果物と比べるとかなり割高で売られているだけに、ただのイメージで選ぶのではなく、その意味を理解しておいても損はありません。

オーガニック(有機)とは
最近その意味が拡大しているようですが、主に農産物に関して使うのが基本ではないでしょうか。農薬はもちろんのこと化学肥料も使わず、地力を生かし、周囲の環境を整えるなどして自然の力で作物を栽培するものです。そのためとても手間がかかる上に収穫量も少なくなるなど、どちらかというと農家には好まれない農業手法です。環境負荷が小さいので、地力を衰えさせず、また環境とも共存するため持続可能な理想的な農業であり、生物の共存共生という意味では確かに素晴らしいものです。ただしオーガニックを選択できるのは、おそらく裕福で恵まれた一部の人でしかないことも認識しておきたいものです。世界には、オーガニックが良いなどと言う前に、満足に食べることができない飢餓人口が7億人もいるわけですから。限られたこの地球の資源を最大限に利用できたとしても、食糧生産は、その工夫がなければとっくの昔に限界が来ているのが現実です。オーガニックにこだわっていても、地球上の食糧問題を解決できるわけがありません。

チャラチャラとしたオーガニック信仰
生物として自然界と共存関係を維持できなくなった人間はきれいごとを言える時代ではなくなったことに気付き、その事実を原点として地球全体の環境を考えていかなければなりません。オーガニックは身体に良さそう、栄養学的にも優れているようだ、農薬を使ってないから安心だ、などという表面的なイメージで良いものであると単純に決め付けてはいませんか。それどころか「オーガニック野菜は冷蔵庫で保存していても溶けない、腐らない」といった根拠のないニセ情報を信じている人もあるようです。困ったことにこのようなニセ科学を積極的に拡散している輩もいるので気を付けなければいけません。青森の「奇跡のリンゴ」というものがあります。リンゴ栽培には通常農薬や化学肥料が多く使われるのですが、ある人が無農薬・無化学肥料でリンゴを栽培することに成功したというお話です。周囲から変人扱いされるほどの苦労を重ねて見事なリンゴを実らせたのは事実で、マスコミで紹介されたり本になったりもしたものです。しかし、このリンゴは腐らないというニセ情報が独り歩きしているのです。関連事項をいろいろと読んでみると、その話は少々宗教染みている有様で、奇跡のリンゴを育てた男性を教祖のように扱っているものまでありました。こうなってくるとオーガニックがどうとかいうものではなく、立派なニセ科学にしかすぎません。極端な話、オカルトの世界ともいえましょう。

私たちが考えなければいけないこと
地球上に食料が足りていないことを忘れてはいけません。また日本人だけを考えても経済的な格差は大きく、手をかけて育てた高価なオーガニック食品を食べることができる人はそれほど多くないのが現状です。生産コストを抑えて大量に供給しようとすると、有機ということにこだわるわけにはいきません。通常販売されている野菜類には大量に農薬や化学肥料が使用されているものと思って間違いありません。もちろんより良い農作物を栽培しようと頑張って低農薬栽培などに挑戦する農家も増えていますが、とにかく虫食いひとつない葉物野菜が安く売られているのには理由があるのです。日本に限らず世界的に食料生産効率を高めなければいけない十分な理由があり、消費者の安全を考慮したうえでの農薬や化学肥料を使う必然性は必要悪とも言えましょう。
食生活が豊かな人たちには、その余裕の中でオーガニックを選択するのは好ましいものですが、絶対的にオーガニックを信じたり、現代の通常生産農産物を排除したりする志向は決して正しいものとは言えません。その一方で、農薬の許認可基準のあり方や、生産者の使用量に対する認識も、消費者に向かったものでなければいけません。農薬や化学肥料をどれだけまでなら使ってもかまわないという考え方ではなく、効果が期待できる最小量はどれだけなのかを常に追求して欲しいものです。「規制する側の国、販売者、その使用者」と消費者の信頼関係が築かれていなければ健全な社会が形成されないと考えるのは飛躍し過ぎた考え方でしょうか?食に満たされているからこそこのようなことを考えられると思うと、幸せなことですよね。オーガニック嗜好は悪いことではありませんが、食に満たされた我々であるからこそ、食糧問題を考える機会をつくっても良いのかもしれません。


堀様1 藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


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