カバーストーリー 2022年4月第1週号「湿度の高い春は、 涼茶を飲もう」

2022/04/06

スクリーンショット (865)これからの香港、涼茶で体内の湿気を取り除こう

4月が始まり、いよいよ香港ならではのムワッとした湿気の季節の始まり。東洋医学では、身体の中に湿気がたまるとむくみ、食欲不振、だるさやめまいなど、さまざまな不調を引き起こすと考えられている。この多湿な土地に昔から住んできた香港の人々は、家庭で漢方を煮だした湯水(薬膳スープ)を冷やして飲んだり、街中の涼茶屋で気軽に一杯涼茶を飲むなど、生活の中に涼茶文化が定着している。2006年には香港無形文化財に登録され、「香港オペラ」や「ドラゴンボート」などと並ぶ香港の伝統的な事物の仲間入りを果たした。スクリーンショット (866)
代表的な涼茶は「廿四味」。24種類の漢方を煎じたお茶で、体内の熱をとる。これより少し甘く飲みやすいのが「五花茶」だ。5種類の漢方を煎じ、「廿四味」と同様の効用がある。香港の人は調子が悪い時は薬局に行くより、すぐ近くにある涼茶屋へ駆け込む人も多いらしい。
今や世界ブランドとなった涼茶の代表「王老古」は広東が発祥だ。1852年、1人の農民が薬草を用いて作ったお茶の噂が、当時清朝第九代皇帝・咸豊帝の耳に入り、宮廷でお茶作りを開始したのが起源となった。
時は流れ、西洋医学の発展で涼茶屋も一時は勢いをなくしたが、今では「鴻福堂」などのメーカーが現代人のライフスタイルに合わせ、コンビニ商品を打ち出したり、駅ナカにスタンドを設けたりと、涼茶は今もなお香港の人々に愛されている。湿度が高くなるこれからの季節、現地ならではの健康法で体の調子を整えよう。

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